航空オイルショック(4)「死の谷」の脱炭素燃料
航空業界の脱炭素燃料として注目されるSAF(持続可能な航空燃料)の普及状況と、出光らによる取り組みを報じた記事
専門家の視点
出光興産と日本製紙などが廃食油やバイオマス由来の原料からSAF(持続可能な航空燃料)を製造する取り組みを進めていますが、現時点では実体と物語の間に明確なズレが存在します。実体として、SAFの商用規模での生産はまだ始まっておらず、コストが通常燃料の数倍に達するため経済合理性が成立していません。一方、物語では「航空業界の脱炭素を進める手段」として各国や企業が普及を掲げ、2030年目標に向けた計画が先行しています。この「物語先走り」の構造の核心は、製造プロセスや原料調達が確立していない段階で、需要側の導入義務だけが先行している点です。特に「死の谷」という表現が象徴するように、実証から商用化への橋渡しに必要な資金・制度・人材の実行レイヤーが具体的に設計されていません。ここで問い直すべき前提は、SAFの普及が「廃食油の安定調達」を当然としている点です。現実には、廃食油の収集網や国際的な争奪戦が激化しており、原料不足はすぐに顕在化する問題です。このズレが解消されない限り、期待だけが膨らみ続ける構造が続きます。
一次ソース
- https://nikkei.go.link/article/DGKKZO97738150T20C26A7EA1000?adj_t=1lssb67q&adj_campaign=article
- https://regist.nikkei.com/r123?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGKKZO97738150T20C26A7EA1000&n_cid=DSPRM1AR07
- https://regist.nikkei.com/r123?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGKKZO97738150T20C26A7EA1000&n_cid=DSPRM1AR07#free