企業動向

コーセーの新工場、「価格差支援」でグリーン水素活用 - ニュース

2026-07-23
コーセーが山梨県でグリーン水素や水力発電を活用した新工場の稼働式を開催し、エネルギーの地産地消モデルを推進する

専門家の視点

グリーン水素の「価格差支援」という制度スキームが、コーセーの新工場という実需要と結びついた点は実体として確かな一歩です。しかし、ここには「物語先走り」の構造が潜んでいます。グリーン水素は現時点で経済合理性が十分でなく、価格差を公的支援で埋めることで初めて事業化が成り立っています。この支援がいつまで続くのか、支援終了後に地産地消モデルが自立するのかという時間軸が記事では明確にされていません。つまり、実体(支援依存)と物語(持続可能な地産地消)の間にズレが存在します。また、誰が実行するのかという実行レイヤーについても、工場のオペレーションと水素供給網の維持を担う人材や組織の具体像が欠落しています。次の観測点は、支援終了後の価格競争力と、工場のエネルギー消費全体に占めるグリーン水素の比率です。コーセーの取り組み自体は悪くありませんが、「支援があるから使える」という現実と「将来は自立する」という物語の間をつなぐ具体的な工程表がなければ、期待先行のまま実体が追いつかないリスクをはらんでいます。

コーセーホールディングスは7月9日、山梨県南アルプス市に国内3カ所目となる生産拠点「南アルプス工場」を本格稼働した。山梨県内で製造された再生可能エネルギー由来のグリーン水素や県営水力発電由来の電力を採用し、エネルギーの地産地消モデルを推進する。同日、稼働式を開催した。 同工場では、化粧品の製造で必要となる加温工程に、山梨県が推進する「やまなしP2Gシステム」によって、米倉山電力貯蔵技術研究サイトにあるメガソーラー(大規模太陽光発電所)による電力で製造されたグリーン水素を活用する。初回の納品量は2800Nm3だった。 初年度は天然ガスと併用しながら段階的に使用量を拡大する。国の「水素社会推進法に基づく価格差に着目した支援制度」を活用し、2028年度には加温工程の熱源の10%を水素に置き換える計画。最終的には、2040年までに従来の化石燃料から100%水素への転換を目指す。 さらに県営水力発電由来のCO2フリー電力「シン・やまなしパワー」を採用し、使用電力を実質100%再エネ化する。なお、国内初の事例として、建設工事から水力発電由来CO2フリー電力を100%活用したという。8月からは自家消費型太陽光発電設備も稼働する予定。太陽光パネルの出力、年間発電量などは非公表。 コーセーグループは、2030年にスコープ1・2(直接排出と購入電力による間接排出)のCO2排出量を2018年度比55%削減、2040年にカーボンニュートラル達成を目標に掲げている。南アルプス工場のエネルギーの地産地消モデルは、同社の脱炭素に向けた第一歩になるという。 Copyright 2026 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved. このページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権は日経BP、またはその情報提供者に帰属します。 掲載している情報は、記事執筆時点のものです。

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