欧州委、全加盟国に法的手続き ゼロエミッション建築指令の国内法化遅れで是正要求
専門家の視点
EUが全加盟国を相手に侵害手続きを開始したという一見強硬な姿勢は、実体と物語の間に深刻なズレがあることを示しています。実体として、EUの建築物はエネルギー消費の最大部門であり、改修率は年間約1%と低迷し、ゼロエミッション建築ストック実現には程遠い現状があります。にもかかわらず、物語は「2050年までの目標達成」という壮大なビジョンを掲げ、改正指令で厳格な基準や期限を設定しました。ところが、加盟国が国内法化の期限を守れず、全27か国が手続きの対象となる事態は、物語先走りの典型的な構造です。つまり、目標は魅力的でも、それを実行に移す制度設計と各国の準備が全く追いついていないのです。この指令に盛り込まれたワンストップ窓口の整備や資金活用の仕組みは正しい方向ですが、それらを実際に運用する行政人材や市場の改修技術・供給体制という実行レイヤーが確保されていないことが、最大のボトルネックです。ここで隠れた前提を問い直すならば、「規制と罰則で加盟国を動かせる」という発想そのものの限界です。
7月15日、欧州委員会は、改正された「建築物のエネルギー性能指令(Energy Performance of Buildings Directive、EPBD、EU 2024/1275)」の国内法化が期限までに完了していないとして、EU加盟27か国すべてに対し、正式な通知書(Letter of Formal Notice)を送付し、侵害手続きを開始したと発表した。 同指令は2024年に採択され、加盟国は5月29日までに国内法への移行を完了し欧州委員会へ通知する義務があった。化石燃料ボイラー設置への財政支援を禁止する第17条第15項については、1月1日までに先行して国内法化することが求められていた。 欧州では建築物が最大のエネルギー消費部門であり、EPBDの実施は年間約1%にとどまる建築物改修率の引き上げ、家庭・企業のエネルギーコスト削減、化石燃料輸入への依存低減、2050年までのゼロエミッション建築ストック実現に向けた重要な施策と位置付けられている。 改正指令では、非住宅建築物の最低エネルギー性能基準や住宅の段階的改修計画に加え、サステナブルモビリティ関連インフラや建築物への太陽光発電導入を求める。また、建築物改修に関するワンストップ相談窓口の整備や、公的・民間資金の活用を通じて改修を促進する仕組みも盛り込まれている。 加盟国には2か月以内の回答と国内法化完了の通知が求められ、十分な対応が確認できない場合、欧州委員会は理由付き意見書(Reasoned Opinion)の送付へ進む可能性がある。 原文:The Commission calls on EU countries to transpose the reinforced rules on the energy performance of buildings 日本語参考訳:欧州委員会は、EU加盟国に対し、建物のエネルギー性能に関する強化された規則を国内法に移行するよう求めている。 ESG Journalでは、実務に役立つポイントや実践ガイド(テンプレート)を紹介しています!国際的な動向からも気候変動への対応や開示の高度化が進んでいます。ぜひこの機会に自社の実務対応を再確認してください。🌍気候変動開示への対応に関連する実務解説はこちら>>> ✅それぞれの制度の概要を比較✅両制度の共通点と活用方法 ✅スコープ2改定案における変更点の全体像✅エネルギー調達戦略とデータガバナンスの解説 ✅SSBJ実務対応案で示されている方向性✅今から企業が準備できる開示準備のポイント
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一次ソース
- https://energy.ec.europa.eu/news/commission-calls-eu-countries-transpose-reinforced-rules-energy-performance-buildings-2026-07-15_en?utm_source
- https://energy-ec-europa-eu.translate.goog/news/commission-calls-eu-countries-transpose-reinforced-rules-energy-performance-buildings-2026-07-15_en?utm_source&_x_tr_sl=auto&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=zh-CN&_x_tr_pto=wapp