金融庁、コーポレートガバナンス・コード2026年改訂版を確定 サステナビリティ責任を新原則に統合、取締役会の役割を明確化
専門家の視点
金融庁と東証が確定したコーポレートガバナンス・コード2026年改訂版は、サステナビリティ責任を取締役会の責務として明確化し、形式的なコード遵守から本質的なガバナンス改革への転換を図っています。この構造の中心は、「実体」としてコードのプリンシプル化や解釈指針の新設という制度変更が行われた一方、「物語」では企業に実質的な対応を求める意図が示されている点です。しかし、パブリックコメントで「ガバナンス改革が後退した」との誤解リスクが指摘された通り、プリンシプル化が基準緩和と受け取られ、期待される実効性向上との間にズレが生じる可能性があります。特に、サステナビリティ監督を取締役会の役割と位置付けても、誰が実行するのかという実行レイヤーが明確でなく、社内に専門人材やデータ基盤が整っていない企業では形骸化する危険性があります。この改訂が効くのは2026年以降であり、それまでに企業が具体的なKPIや進捗管理を独自に設計できるかが課題です。隠れた前提は「取締役会がサステナビリティを監督すれば企業価値が向上する」という因果ですが、実際には経営戦略とサステナビリティの統合プロセスそのものが欠けています。
7月21日、金融庁と東京証券取引所は、コーポレートガバナンス・コード(2026年改訂版)を確定し、公表した。4月10日から5月15日に実施したパブリックコメントでは147の個人・団体から意見が寄せられ、コードのプリンシプル化や成長投資の促進といった改訂の方向性には概ね賛同が示された。 今回の改訂では、従来の補充原則を整理し、「コンプライ・オア・エクスプレイン」の対象となる原則を概念的・抽象的な内容に限定するとともに、具体的な考え方を示す「解釈指針」を新設した。金融庁は、企業が形式的な対応ではなく、本質的なガバナンス改革に取り組むことを狙いとしている。 サステナビリティに関しては、従来の原則2-3、補充原則2-3①、補充原則4-2②前段に分散していた内容を、新設された原則4-4とその解釈指針へ統合・整理した。 これにより、サステナビリティへの対応は「取締役会等の責務」の一つとして位置付けられ、取締役会が企業価値向上に向けたサステナビリティ課題を監督・推進する役割を担うことがより明確になった。また、社内における多様性の確保についても重要性を踏まえ、補充原則2-4①が原則へ格上げされた。 パブリックコメントでは、プリンシプル化により企業が本質的な取組に注力しやすくなるとの評価があった一方「ガバナンス改革が後退した」と誤解されないよう改訂趣旨を丁寧に周知すべきとの意見も寄せられた。 また、コードに適合を説明する場合も、ひな型的な表現ではなく、企業の実態に即した実質的な対応・説明が重要であるとの指摘や、改訂後の運用状況を継続的にフォローアップすべきとの意見が多数示された。 個別論点では、プライム市場上場企業について独立社外取締役を過半数とすることや、筆頭独立社外取締役の選定、独立性基準の厳格化を求める意見が寄せられた。 また、有価証券報告書の定時株主総会前開示については、株主の議決権行使や対話の充実に資するものとして賛同する声があった一方、有価証券報告書と事業報告等の一本化など制度整備を先行すべきとの意見も示された。 今回確定したコードは、企業に対しサステナビリティを含む中長期的な企業価値向上を取締役会の責務として位置付けなどにみられるように、形式的なコード遵守ではなく、実効性のあるガバナンス改革を求める内容となっている。 原文:コーポレートガバナンス・コード(2026年改訂版)の確定について ESG Journalでは、実務に役立つポイントや実践ガイド(テンプレート)を紹介しています!ESG評価が多様化しAIの活用も進む中どのような対応が求められるか実務解説しています。ぜひこの機会に自社の対応状況を再確認してください。🌍ESG評価関連対応に関連する実務解説はこちら>>> ✅企業戦略とサステナビリティ/ESGデータの活用を徹底解説✅競争優位としてのサステナビリティとは ✅ESG情報管理におけるデジタル活用の必要性✅手作業による運用に限界を感じている現場で今後のあり方を解説
本文は配信元の記事から取得した抜粋です。