制度・政策

【日本】環境省、「調達におけるネイチャーポジティブの実践のためのガイドライン」発行

2026-07-21
環境省が「調達におけるネイチャーポジティブの実践のためのガイドライン」を公表した。

専門家の視点

環境省が公表した「調達におけるネイチャーポジティブ実践ガイドライン」は、生物多様性を調達判断基準に組み込むための方向性を示したものです。実体としては、企業がサプライチェーン全体で自然への影響を評価し、森林破壊や生態系劣化に関わる原材料の調達を回避するための手続きを想定しています。しかし、現時点では法的拘束力はなく、あくまで任意の実践指針に留まります。ここに「物語先走り」の構造が見えます。ネイチャーポジティブという国際的な物語が先行し、企業にとっての実行手段や検証可能なKPIが十分に示されていないからです。また、調達先の現地での実態把握、サプライチェーン全体への影響評価を「誰が実行するか」という実行レイヤーが欠落している点が本質的な構造的論点です。さらに、このガイドラインが当然とする前提には、「企業が自主的に長期視点で自然資本を評価できる」という暗黙の仮定がありますが、現在の市場では短期的なコスト競争が優先されやすく、この前提は現実と乖離しています。次の観測点は、このガイドラインを契機に調達基準を改定する企業が、自社の実体と照らしてどの程度具体的な行動変容に結びつけるかです。

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