【EU】IETA、2030年以降のEU-ETSの在り方提言。市場連携と国際クレジット活用
国際排出量取引協会(IETA)が、2030年以降のEU排出量取引制度(EU-ETS)の改正に向け、市場連携と国際クレジット活用に関するビジョンペーパーを発表した。
専門家の視点
EU排出量取引制度(EU-ETS)の2030年以降の姿を、市場機能の維持と国際連携という二軸で描く提言です。実体として、EU-ETSは排出枠の縮小が制度的に避けられず、供給過剰や価格低迷への懸念が市場参加者の間で共有されています。この提言は、市場メカニズムの信頼性を維持するため、排出枠の更なる削減スケジュールや国際クレジットの活用といった具体的な制度設計に踏み込んでいる点で、物語(目的・経路)が明示されています。ただし、肝心の「市場連携」の相手やルール調整の詳細は依然として不透明であり、現状はビジョン先行の物語先走りの構造です。EU域外のパートナーと制度をつなぐには、排出量の算定方法や二重計上の防止など、技術的・政治的なハードルが多数残されています。この提言の隠れた前提は「国際クレジットが安定的に供給され続ける」ことですが、実際にはクレジットの質や発行国の脱炭素政策の信頼性にばらつきが大きく、一律に活用できるとは限りません。次に注目すべきは、EUがこの提言をどう制度に反映するか、特に国際クレジットの受け入れ条件を具体的に示すかどうかです。