企業動向

三菱ふそうトラック・バス。国内の全製造拠点でカーボンニュートラル達成。国内自動車メーカー ...

2026-07-21
三菱ふそうトラック・バスが国内自動車メーカーで初めて、国内全製造拠点でカーボンニュートラルを達成した。

専門家の視点

三菱ふそうが国内全製造拠点でカーボンニュートラルを達成したという発表ですが、この「達成」は残余排出量をカーボンクレジットで相殺したバランスシート上のものであり、物理的な排出ゼロではありません。実体として、同社は再エネ切り替えや太陽光導入で着実に削減を進めてきましたが、それでも削減しきれない分をクレジットで埋める構造です。物語は「国内自動車メーカー初」と強く打ち出していますが、他社と比較する際、トヨタの田原工場のような工場単位の達成や、ホンダ・日産のライフサイクル全体目標といった異なるスコープが混在している点に注意が必要です。ここで問われるのは、カーボンニュートラルという言葉の定義と、それが市場や社会からどう評価されるかです。期待先行の構造として、投資家や政策が「全拠点カーボンニュートラル」というラベルに飛びつきやすい一方、クレジット依存の持続可能性や、トラックメーカーという業態の特殊性(乗用車メーカーより生産量が小さいため達成しやすい)が軽視されるリスクがあります。次の観測点は、この宣言が同社のバリューチェーン全体や、製品使用時の排出削減にいつ、どうつながるのかです。

三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は、2025年に国内の全製造拠点でカーボンニュートラルを達成したと発表した。同社の国内製造拠点は、トラック車両および産業用エンジン等を製造する川崎製作所などの4カ所。製造に伴う工程等での排出量削減に取り組んだうえで、削減が困難な残余の温室効果ガス(GHG)排出量については、認証済みカーボンクレジットによって相殺した。同社は、トラック、バスなどの大型商業自動車に特化しており、乗用車などの商業自動車多生産メーカーとは異なるが、国内の自動車メーカーでカーボンニュートラルを達成したのは初となる。 対象となる同社の国内製造拠点は、トラック車両および産業用エンジン等を製造する川崎製作所(神奈川県川崎市)、トランスミッション等を生産する中津工場(神奈川県愛甲郡)、バス車両の製造を担う三菱ふそうバス製造株式会社(富山市)、架装メーカーの株式会社パブコ(神奈川県海老名市) の4拠点。 これまで同社は製造拠点全体のCO2排出量削減に向けた取り組みとして、国内生産拠点で使用する電力を、化石燃料由来の電力から、再生可能エネルギー由来電力に切り替えを進めたほか、自家消費型太陽光発電設備を導入、さらに製造工程における各種省エネルギー施策等を実施することで、生産活動全体でのCO2排出量の大幅な削減を実現できたとする。排出削減の実施とともに各拠点では環境性能が向上する効果も高まった。 主要製造拠点ごとの取り組みでは、2021年にかけて、川崎製作所および中津工場でのCO2排出量を、2015年比で20%以上削減を達成したほか、 2022年には、川崎製作所内に約14,000㎡の自家消費型太陽光発電パネルを増設、同製作所および中津工場での全調達電力を再エネ由来に 切り替えた。また欧州向け小型トラック生産拠点であるポルトガルのトラマガル工場も同2022年にカーボンニュートラルを達成した。 これらに続いて2023年には、三菱ふそうバス製造会社が100%実質再エネ電力による操業に切り替えた。そして2025年度には、日本国内の全生産拠点においてカーボンニュートラルを達成したことになる。 同社のこれらの排出削減活動は、環境マネジメントシステムの国際規格「ISO14001」および、エネルギーマネジメントシステムの国際規格「ISO50001」の認証を得ることで、生産活動全体における環境性能の継続的な向上、エネルギー効率の向上、資源の有効かつ責任ある利用を推進してきたとしている。 同社はこうした施策を実施することで、2025年暦年および2026年第1四半期におけるCO2排出量削減策とともに、カーボンクレジットの調達での補完を合わせて、2025年度ベースでもカーボンニュートラル化を達成したとしている。同社のカーボンニュートラルはバランスシート上で達成されたとしている。 同社は2026年4月以降も、CO2排出削減活動を通じて、カーボンニュートラル化の維持を図っていく、としている。さらに、持続可能な生産活動およびゼロエミッション車両の開発を通じ、脱炭素社会の実現に貢献していくと宣言。ライフサイクルアセスメントや持続可能な素材戦略などの取り組みを通じて、当社のビジョンに基づいて「人と地球により良い生活と環境を実現」することを目指すとしている。 日本の他の自動車メーカーのカーボンニュートラル対策では、生産量世界一のトヨタは、国内の 工場単位では、愛知県の田原工場でカーボンニュートラルを達成している。企業全体としてのニュートラル達成は2050年を目標に掲げている。 ホンダも2050年に製品および企業活動を通じたカーボンニュートラル実現を目標にするとともに、2040年までにEV・FCVの販売比率100%を目標としている。また国内工場での太陽光発電設置、電力のグリーン化・省エネ設備更新などを進めているが、全拠点でのカーボンニュートラル宣言は確認できない。 日産自動車も2050年までに材料採掘から製造、走行、廃棄に至るクルマのライフサイクル全体でのカーボンニュートラル実現を目指すとしている。国内工場では工場屋根への太陽光、工場でのエネルギーマネジメントシステム(EMS)導入、グリーン電力の調達・利用などを進めているが、全社統一した「全拠点カーボンニュートラル」宣言は確認できない。 スズキ、マツダ、三菱自動車、スバルなども、工場単位での省エネ、再エネの取り組みはあるが、全社レベルでのカーボンニュートラルの宣言は未定となっている。 https://assets.mitsubishi-fuso.com/fusoassets/2026/07/%E3%81%B5%E3%81%9D%E3%81%860717_%E5%9B%BD%E5%86%85%E5%85%A8%E8%A3

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