ダイセル、低圧太陽光・約80件でバーチャルPPA - ニュース - メガソーラービジネス plus : 日経BP
専門家の視点
ダイセルグループが低圧太陽光約80件でバーチャルPPAを締結したという発表は、企業の再エネ調達において「規模の経済」と「分散型の現実」の間に横たわる構造的ギャップを浮き彫りにします。実体として、約80件もの個別契約を束ねることは、調達コストや管理負荷の増大を意味しますが、これはFIT切れ案件や未稼働の低圧太陽光を活用する経済合理性に裏打ちされたものです。物語は「中長期目標達成」という壮大なビジョンですが、肝心の「誰がこれを実行するのか」という実行レイヤーが不明瞭です。多数の小規模発電所との個別契約を、グループ全体でどう統合管理するのか、人材や社内システムの整備が追いついているかは不透明です。隠れた前提は「低圧太陽光の供給量が安定して確保できる」という点ですが、実際には天候や発電事業者の倒産リスクなど、分散型ゆえの不安定要素を内包します。市場の期待は先行しており、バーチャルPPAの普及拡大を予感させる一方で、執行面の不確実性が指摘されにくい状況です。この取り組みの真の成否は、約80件のポートフォリオを運営する体制と、CO2削減効果の検証方法にかかっています。
ダイセルは、ヘキサ・エネルギーサービス合同会社(東京都千代田区)のグループ会社である地域電力とバーチャルPPA(電力購入契約)を締結し、7月から順次運転を開始する複数の太陽光発電所から環境価値を調達する。 同取り組みは、地域新電力が全国に低圧事業用太陽光発電所を中心としたダイセル専用の小規模太陽光を約80件開発・設置し、ヘキサ・エネルギーサービスが集約して運営する。発電所の需給管理と市場への売電は、デジタルグリッド(東京都港区)が担当する。 生み出された環境価値は、静岡県富士市にあるダイセル富士工場に供給する。同工場の年間電力需要の約1割相当をバーチャルPPAのスキームで「実質再生可能エネルギー電力」に置き換え、スコープ1・2(直接排出と購入電力による間接排出)ベースで年間約5000tのCO2排出量を削減できる見込み。 ダイセルグループは、CO2排出量削減の中長期目標として、2030年に2018年度比50%削減、2050年にカーボンニュートラルの実現を掲げる。グループ生産拠点への太陽光発電システムの導入も進めており、2024年は海外2拠点、ダイセル・セイフティ・システムズの中国・江蘇省(Daicel Safety Systems Jiangsu)と同社ポーランドの拠点(Daicel Safety Systems Europe)に設置した太陽光発電システムの自家発電量は3379MWhだった。 Copyright 2026 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved. このページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権は日経BP、またはその情報提供者に帰属します。 掲載している情報は、記事執筆時点のものです。
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