合成メタン、大型設備の開発競争 IHIが30年に25万世帯分
IHIが水素とCO2から合成メタンを製造するメタネーション装置の大型化を進め、2030年に現在の20倍の能力を持つプラントを目指す。
専門家の視点
IHIが2030年に25万世帯分相当の合成メタン製造を目標とする一方、実証段階から事業化へのスケールアップには大きな技術的・経済的ハードルが存在します。現在の装置比20倍という数値目標は物語として明確ですが、現時点での水素価格・CO2調達コスト・合成効率といった実体が公開されていません。メタネーションは発電時のCO2排出を半減できる技術ですが、原料水素がグリーンでなければ全体の脱炭素効果は限定的です。 この構造の中心は物語先走りです。2030年という時間軸は、現行の技術成熟度や水素供給インフラの整備状況から見て挑戦的であり、期待先行のリスクをはらんでいます。特に「25万世帯分」というわかりやすい指標は投資家や政策決定者の期待を喚起しやすい一方、実行レイヤーとなる水素製造・輸送・貯蔵の準備が追いついていない可能性が高いです。 隠れた前提は「水素が十分かつ安価に供給される」ことです。実際には、水素のグローバル市場は未成熟であり、価格競争力や供給安定性が不透明です。この前提が崩れると、合成メタンの経済合理性は根拠を失います。