再エネ・技術

水素活用社会、燃料電池車が起点 「1万台の壁」突破は2040年前後か

2026-07-21
日本自動車工業会会長が燃料電池車の台数目標に言及し、水素社会実現の道筋を展望した記事。

専門家の視点

水素社会の実現に向け、水素ステーションや燃料電池車(FCV)の普及台数を「1万台」と設定したKPIが達成されるのが2040年前後という長期見通しが示されました。ここにある構造は、自動車業界が描く「水素で走る未来」という物語と、普及の実体としてのインフラ整備やコスト低減のペースが大きく乖離している点です。現時点でFCVの年間販売は数百台規模にとどまり、技術的な完成度は高まっても、価格や充填の利便性で電気自動車(EV)に劣る現実があります。この「物語先走り」の構造では、物語の実行主体が明示されていません。インフラ整備はガス会社やエネルギー事業者の投資判断に委ねられ、車両販売は自動車メーカーの供給努力に依存しますが、両者は「鶏と卵」の関係で同時に動かず、誰が初期リスクを取るのかが曖昧です。記事が当然としている前提は「水素が脱炭素の切り札である」ことですが、現時点の水素製造の大半は化石燃料由来であり、グリーン水素への転換が進まなければCO2削減効果は限定的です。この水素調達の実体が物語に組み込まれていないことが、長期的な期待形成の脆弱さにつながっています。

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