Scope3対応は「データ収集」が重要ーSSBJ・CSRD・SBTiに共通する実務基盤とは
SSBJやCSRD、SBTiといった主要な基準に共通するScope3対応の実務基盤としてデータ収集の重要性を解説している。
専門家の視点
Scope3対応の論点が「算定方法」から「データ収集体制」に移りつつある点は、実務の本質を突いています。しかし、ここには構造的なズレが二つ潜んでいます。一つは、制度の要求水準(物語)と企業の実行可能なデータ基盤(実体)のギャップです。SSBJやSBTiはサプライチェーン全体の排出量開示を求めますが、多くの企業は取引先からの活動量データを系統的に収集・管理する体制をまだ持っていません。物語が先走っているのです。もう一つは、データ収集体制の構築自体が「誰が実行するのか」という実行レイヤーの問題をはらんでいることです。経営やサステナビリティ部門が旗を振っても、実際にデータを毎年収集する購買・物流・営業現場の協力とシステム連携がなければ機能しません。この記事が当然としている「データ収集の仕組みづくりが重要である」という前提を問い直すなら、本当の課題は「収集したデータの品質を担保し、監査対応可能な状態に保つ継続的なガバナンス」です。データを集めることと、そのデータを信頼できる証憑として使えることは別のフェーズです。