蓄電池はAI・半導体とESGをつなぐ重要パーツ 成長戦略で強まる経済安全保障の観点 野村證券・棚橋研悟
蓄電池がAI・半導体とESGをつなぐ重要部品であり、成長戦略の中で経済安全保障の観点が強まっていると野村證券の棚橋研悟氏が解説。
専門家の視点
蓄電池がAI・半導体とESGをつなぐ「重要パーツ」というフレーミングは、技術の接続性を物語として強調する一方で、実体としての蓄電池産業の現状にはズレがあります。実体は、グローバルな需給逼迫や資源調達リスク、製造コストの高止まりといった物理制約です。経済安全保障という観点が加わることで、物語は戦略性を帯びますが、誰がどのタイムラインで実行するのかという具体的な実行レイヤーが欠落しています。特に、蓄電池の原料となるレアメタルの安定調達やリサイクル制度の整備は、成長戦略のKPIとして明確に示されていません。期待は、投資家レイヤーで先行していますが、制度や人材、リサイクルインフラといった実体の整備が追いついていないのが現状です。この構造の中心は、物語先走りです。隠れた前提は、蓄電池が「AIと半導体の中間でESGを実現する」という役割が自明であるという点です。しかし、AIの電力消費増大と蓄電池の製造自体の環境負荷をどうトレードオフするかという別の論点が抜けています。次の観測点は、蓄電池のライフサイクル全体でのCO2排出量をどの基準で評価するかという国際的なルール形成の動きです。