検証CCS: 本当に使えるコストになるのか、誰が漏えい責任を持つのか(オルタナ)
CCS(二酸化炭素回収・貯留)のコスト実現性と漏えい責任の所在について検証した記事
専門家の視点
CCS事業者とCO2を排出する企業の間で、コスト分担と漏えい時の責任の所在が未確定のまま制度設計が進んでいる点が、この議論の核心です。CCSの実現にはCO2分離・回収、輸送、圧入・貯留という一連のプロセスがあり、それぞれにコストがかかりますが、現時点ではどの段階でどれだけの費用が発生し、誰が負担するのかの具体的な姿が見えていません。また、地下に封じ込めたCO2が漏えいした場合のモニタリング期間や、その後の責任の引き継ぎルールも明確ではありません。これは物語先走りの構造です。国がCCSをカーボンニュートラルの切り札と位置づけ、事業化に向けた法整備を急いだ一方で、コスト競争力の検証や長期責任の枠組みといった実体面の詰めが後回しになっています。隠れた前提として「CCSのコストは将来下がる」という期待がありますが、現時点で実証規模を超えた商用コストのデータは限られており、この前提が崩れるリスクを議論に組み込む必要があります。次の観測点は、経済産業省が示す2030年までのCCS事業開始目標に対して、実際に年間数百万トン単位のCO2を処理する商業プラントの建設可否と、漏えい保険の市場形成です。