洋上風力再公募、発電費30円/kw時想定「応じる企業ない」
洋上風力発電の再公募において、想定される発電費用が30円/kWhでは応じる企業がないとの見通しが報じられている。
専門家の視点
洋上風力の再公募における30円/kWhという発電費想定は、実体と物語の間に明確なズレが生じている構造です。実体として、現在の洋上風力の発電コストは欧州で40~60円/kWh程度であり、国内では港湾工事や送電網整備のコストが上乗せされるため、30円/kWhは技術的・経済的に達成が極めて困難な水準です。この現実があるにもかかわらず、政府の物語では「技術革新と規模拡大でコスト低減が進む」という前提が置かれ、実体の翻訳が不足しています。さらに、期待のレイヤーでは投資家や事業者が「採算が取れない」と判断し、入札参加を見送るという市場の冷静な反応が既に表れており、期待先行ではなくむしろ期待欠落の状態です。ここで問い直すべき隠れた前提は、「政府が設定した価格が市場に強制力を持つ」という考え方です。実際には、事業者がリスクを取るかどうかは収益性と不確実性のバランスで決まり、価格設定だけでは動きません。次の観測点は、政府が公募条件の中にリスク分担の仕組み(例えば、系統接続コストの一部負担や長期買取価格の保証)をどう組み込むかであり、これがなければ再公募は形骸化する可能性が高いです。