遅れるLPガスの脱炭素 9つの実証、ENEOS系や古河電工
LPガス分野の脱炭素に向けた9件の実証事業が公表され、ENEOS系や古河電工などが参画している。
専門家の視点
LPガスの脱炭素実証9件が公表されましたが、現時点で見えるのは「物語(説明)」と「実体(現実)」の間に明確なずれがある構造です。経済産業省や参画企業は「LPガスも脱炭素に取り組む」という物語を打ち出していますが、実証段階であることから、技術的な確立やコスト競争力の裏付けはまだ乏しいと言わざるを得ません。具体的には、合成メタンやバイオLPガスなど複数の選択肢が示されていますが、いずれもスケールメリットや供給インフラの互換性が不透明であり、実体としての脱炭素効果が測定可能な形で示されていない点が課題です。 ここでの隠れた前提は「LPガスが脱炭素燃料として自然に受け入れられる」というものです。しかし、LPガスは既存の都市ガスや電力と異なり、家庭用・業務用の分散型エネルギーとしての強みがある一方、供給網の脱炭素化には個別配送や容器管理など独自のハードルが存在します。この点が軽視されているのは、制度設計が技術導入に偏り、実行レイヤーである配送・販売事業者の人材や設備投資計画が追いつかない非対称性を生むリスクです。