企業動向

環境価値を市場価値へ

2026-07-18
ユニ・チャーム、NTTドコモビジネス、デロイト トーマツが、企業の脱炭素努力を市場価値や企業価値に結びつける方法について共同で考察している。

専門家の視点

環境配慮と消費行動の間にギャップがあるという構造です。生活用品では、環境価値が価格や機能性ほど購買の優先順位が高くなく、省エネ家電のように家計上のメリットも見えにくいという現実があります。この実体を踏まえ、GXリーグのワーキンググループは、中間排出事業者が川上と川下をつなぎ、サプライチェーン全体のデータ連携や市場評価の仕組みを議論しています。ここでの中心的な課題は「環境価値をどのように市場価値や企業価値に変換するか」という物語は明確ですが、実体として消費者の購買行動を変える具体策や、データ連携の実行レイヤーがまだ十分に具体化されていない点です。特に、非耐久消費財では環境性能が差別化要素になりにくいという前提を見直す必要があります。技術的な省エネ性能だけでなく、使い捨てから長期的な価値提案へと製品の意味づけを変える発想が求められるのではないでしょうか。結局、このWGの成果は、個社の努力を可視化し評価するルールが成立するかどうかにかかっています。次の観測点は、データ連携の実証実験が2025年以降にどの程度のスピードで市場に反映されるかです。

もし想定していない内容が表示されている場合は、上記で変更してください。 企業の脱炭素努力を、どうすれば市場価値や企業価値につなげられるのか。 ユニ・チャーム、NTTドコモビジネス、デロイト トーマツが、生活用品領域のグリーン市場創造に向けた共創の現在地をたどる。 環境に配慮した商品をつくれば、市場は自然に評価してくれる。 そう考えたくなるが、生活用品(日用品・食品など)と呼ばれる、生活者に近い非耐久消費財の現場はそれほど単純ではない。 非耐久消費財とは、紙おむつ、生理用品、洗剤、食品、包装材など、短期間で使い切る商品を指す。こうした商品では、価格、品質、使いやすさが重視される。環境への配慮は重要であっても、それだけで購買行動を大きく変えることは難しい。 さらに、サプライチェーン全体のGHG排出量、すなわち温室効果ガス排出量を把握しようとすれば、素材メーカー、製造メーカー、小売など、複数の企業間で信頼できるデータをどう連携するかという課題にも直面する。 こうした個社だけでは解ききれない課題に向き合うため、GXリーグにおける市場ルール形成の取組の一環として、2025年に「中間排出事業者を通じたグリーン市場創造検討WG」が組成された。 GXとは、グリーン・トランスフォーメーションの略で、脱炭素への対応を企業や社会の成長につなげていく取組を指す。GXリーグは、2050年カーボンニュートラルの実現と社会変革を見据え、GXに挑む企業が行政や有識者などとも連携しながら、排出削減や市場ルールづくりを進めてきた官民共創の枠組みである。 本WGは、川上企業の排出削減の取組が進むなか、川中・川下企業も含めたサプライチェーン全体の排出削減と、企業の持続的成長につながるグリーン市場のあり方を検討することを目的として設けられた。 ここでいう中間排出事業者とは、素材・資材メーカーなどの川上企業と、小売・生活者に近い川下領域の間に位置し、日用品や食品などの消費財を製品化して届ける企業を指す。本WGでは、環境価値をどのように市場で評価し、企業価値や消費者の選択につなげていくかが議論された。 今回対談したのは、本WGのリーダーとして議論を牽引したユニ・チャーム株式会社 ESG本部 ESG推進部長 辰巳研一氏、同WG傘下の分科会(SWG:サブワーキンググループ)である「データ流通の在り方検討SWG」をリードしたNTTドコモビジネス株式会社 スマートインダストリー推進室 室長 前田亮氏、そして本WG全体の討議推進・論点整理を支援した合同会社デロイト トーマツ Sustainability Unit パートナー 加藤健太郎である。 企業の脱炭素努力を、どうすれば市場価値や企業価値につなげられるのか。3者の対話から、生活用品領域のグリーン市場創造に向けた共創の現在地をたどる。 生活用品は生活者にとって身近な商品である。だからこそ、環境価値をダイレクトに届けやすいようにも思える。しかし実際の売場では、価格、品質、容量、使いやすさに加え、肌触り、洗浄力、吸収力といった機能的価値が優先されやすい。 辰巳氏は、生活者の環境への意識と購買行動の間にあるギャップを次のように語る。 「アンケートでは『環境に配慮した商品であれば、多少価格が高くても購入したい』という前向きな声を多くいただきます。一方、実際の売場では価格や機能性も含めて総合的に判断されます。生活用品で環境価値だけを理由に選んでいただくのは、簡単ではありません」 ユニ・チャーム株式会社 ESG本部 ESG推進部長 辰巳 研一 入社後、営業、企画部門で国際事業開発や経営企画の仕事を経て、現職 現在はユニ・チャームの中長期ESG目標である「Kyo-sei Life Vision 2035」の実現に向け、環境配慮とビジネスの持続可能性を両立させる戦略立案・推進を牽引。 GXリーグ「中間排出事業者を通じたグリーン市場創造検討WG」の立ち上げから参画し、リーダー企業として推進に務めた。 これは、消費者の環境への意識が低いという話ではない。環境価値が、購買、取引、価格などの市場構造や企業の評価システムにまだ十分組み込まれていないという構造的な課題を示している。 家電や自動車であれば、省エネ性能による電気代や燃料代の削減が見えやすい。一方、短期間で消費される生活用品では、環境性能が家計上の明確なメリットとして見えにくい。 辰巳氏は、生活用品メーカーとしての取組は以前から積み重ねられてきたと話す。 「お客様に日々の生活の中で選んでいただき、満足して使っていただくための努力を以前から積み重ねてきました。その結果として、環境配慮と製品価値を両立させる様々な工夫が、すでに現場から生まれています」 すすぎ回数を減らす洗剤。泡切れを良くする技術。包

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