NEDO「革新型蓄電池技術開発・高度解析」事業に、東京理科大学及び12団体による共同提案の「ナトリウムイオン電池の技術開発」が採択~ 日本発次世代ナトリウムイオン電池、早期実用化へ ~|東京理科大学
専門家の視点
このプレスリリースの構造は、基礎研究の実績(実体)が明確に存在する一方で、社会実装の工程(物語)が「早期実用化」という言葉で抽象化されている点にあります。駒場教授の15年にわたる研究蓄積や、12団体による産学連携体制は確かな実体です。しかし、実用化の具体的な時期、目標とするエネルギー密度やコスト、量産プロセス移行のマイルストーンは示されていません。「早期」とはいつを指すのか、という隠れた前提に疑義があります。リチウムイオン電池の資源リスクを打破するという物語は強力ですが、実用化の時間軸が不明瞭なままでは、この物語は期待先行の構造へと傾く可能性があります。ナトリウムイオン電池はエネルギー密度でリチウムイオン電池に劣るという物理制約があり、そのトレードオフをどの用途で解決するかの具体的なターゲット設定が、実体の伴う物語には不可欠です。次の観測点は、本事業が具体的な性能目標と量産開始時期を開示するかどうかです。それによって、この物語が基礎研究の延長なのか、実装への本格的な移行なのかが判断できます。日本発技術の自律性確保という期待に応えるためには、物語の具体化が急務です。
2026年(令和8年)7月9日付で、東京理科大学 駒場慎一教授が代表を務める研究課題「ナトリウムイオン電池の技術開発」が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「革新型蓄電池技術開発・高度解析」事業(以下、本事業)に採択されたことが公表されました。本事業への提案は、株式会社GSユアサ、武蔵エナジーソリューションズ株式会社、株式会社クラレ、東亞合成株式会社、MUアイオニックソリューションズ株式会社 (共同実施:三菱ケミカル株式会社)、国立大学法人東北大学、国立大学法人東京大学、学校法人早稲田大学、国立大学法人東京農工大学、国立大学法人群馬大学、国立大学法人大阪大学産業科学研究所、国立研究開発法人物質・材料研究機構と共同で行われたもので、次世代ナトリウムイオン電池の実用化に向けた技術開発を行います。 蓄電池は、2050年カーボンニュートラルの実現やデジタル・電化社会において重要となる技術であり、電気自動車、電力需給調整、データセンター等、多様な用途において蓄電池需要の増大が見込まれています。一方、現在はリチウムイオン電池が広く用いられており、その構成材料について資源調達リスクが顕在化しています。 ナトリウムイオン電池は、東京理科大学教員である駒場慎一が2011年に安定作動をレアメタルフリー構成で初めて実証した、日本発の次世代蓄電池技術です。リチウムやコバルト、黒鉛などの供給リスクを伴う資源に依存しないため、蓄電池供給網の多様化と自律性向上に貢献することが期待されています。 駒場教授はこれまで、日本学術振興会・最先端次世代研究開発支援プログラム(2010-2013年度)、文部科学省・元素戦略プロジェクト(2012-2021年度)、JST GteXプロジェクト(2023-2027年度)などの基礎研究に対する継続的な公的支援により、ナトリウムイオン電池に関する学術的知見、基盤的技術を15年以上にわたり着実に蓄積してきました。また、JST A-STEPプロジェクト(2014-2017年度)をはじめ、社会実装を見据えた企業との共同研究を多角的に展開しています。 本事業では、これまでに蓄積された技術基盤をもとに、電池セルメーカー、電池部材メーカー、大学、国立研究開発法人と一体となって共同提案を行いました。今後は、NEDOの委託のもと、部材開発からセル設計、量産プロセス検討までを連携して進めることで、次世代ナトリウムイオン電池の実用化に向けた取り組みを開始します。 報道関係者向けプレスリリース NEDO「革新型蓄電池技術開発・高度解析」事業に、東京理科大学及び12団体による共同提案の「ナトリウムイオン電池の技術開発」が採択 関連リンク NEDO「革新型蓄電池技術開発・高度解析」事業
本文は配信元の記事から取得した抜粋です。
配信元の記事を読む →