企業動向

三菱ふそう、カーボンニュートラル目標を14年前倒しで達成——ただし裏がある

2026-07-18
三菱ふそうが国内4拠点でカーボンニュートラル目標を14年前倒しで達成したが、その内実はカーボンクレジットを活用したものであると報じている。

専門家の視点

三菱ふそうがカーボンニュートラル目標を14年前倒しで達成したと発表した背景には、実体と物語の間に明確なズレがあります。実体として、排出量そのものが削減されたわけではなく、カーボンクレジットの購入によって実質ゼロを達成したという事実があります。一方、物語は「前倒し達成」という成果を強調し、購入による相殺という手段を後景化させています。ここでの構造は「物語先走り」です。つまり、ビジョンとしての「カーボンニュートラル達成」は早期に掲げられたものの、実体である物理的な排出削減が伴っていない点が問題です。隠れた前提として、「カーボンニュートラル=排出量の実質削減」という認識が記事内で当然視されていますが、実際にはクレジット購入は外部の削減量に依存するため、自社の事業構造変革とは別次元の手法です。このズレが市場や投資家にどのように受け取られるかが焦点であり、期待先行で株価が反応しても、実体の伴わない認証は長期的な信頼を損なうリスクがあります。次の観測点は、三菱ふそうが今後、購入クレジットに頼らずに実際の排出削減をどの程度計画しているかです。

三菱ふその日本国内4拠点が、当初の目標より大幅に前倒しでカーボンニュートラル認証を取得。ただし実質ゼロは排出量そのものではなく、カーボンクレジットで相殺した収支だった。 三菱ふそうは2039年までに工場の排出量をゼロにすると約束していた。それをたった今、14年前倒しで達成した。快挙に聞こえる。だが裏がある。ゼロになったのは収支であって、実際の排出量ではない。残りのCO2は、認証されたカーボンクレジットで単純に相殺されていた。 2025年実績で日本国内4拠点がカーボンニュートラルと認定された。川崎工場と中津工場、富山の三菱ふそうバス製造、相模のPABCOボディ工場だ。ふそうは当初、2039年までのカーボンニュートラル化を目指していたが、2023年に大幅に前倒しし、目標を2025年に変更した。その時点で川崎と中津は、2015年比ですでに20%超の排出削減を実現しており、購入電力も再生可能エネルギーに切り替え済みだった。 太陽光パネル、省エネ、再エネ電力が仕事の大半をこなした。だが全部ではない。2025暦年と2026年第1四半期を通じて、ふそうは残る差分をクレジットで埋めた——同社自身が「現時点では避けられない」と位置づける部分だ。2026年4月以降、同社はさらなるCO2削減で中立性を維持すると約束する。だが語らないことがある。クレジットの利用がいつか終わるのか、そして結果のうちどれだけが実際にクレジット由来なのかだ。 見落としやすい点がもう一つある。今回のニュートラル宣言が対象とするのは生産活動のみだ。サプライヤー、部品輸送、そしてディーゼルトラックやバスの走行時排出は範囲外にある。発表を裏付けるISO14001とISO50001の認証も、ゼロ排出の証明ではない——環境マネジメントシステムとエネルギーマネジメントシステムを確認するものにすぎない。 これほど大胆な発表を検証する方法は一つしかない。絶対排出量、使用したクレジット数、独立監査人のデータを含む報告書だ。それが出てくるまで、疑問は残ったままになる。この結果のどこまでが工場の本当の脱炭素化で、どこからが外部で調達した、体裁の整ったオフセットなのか。

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