再エネ・技術

水素ハイブリッド電車『HYBARI』、日本初の営業運転は27年度末へ

2026-07-18
水素を燃料とするハイブリッド電車「HYBARI」が2027年度末に日本初の営業運転を開始する

専門家の視点

この発表の構造的な中心は「実体が物語に追いついてきたが、まだ期待には届いていない」という段階です。JR東日本は2050年CO2実質ゼロという長期物語を持ち、HYBARIはその実証手段として位置づけられています。ただし、営業運転開始は2027年度末と約3年後であり、走行距離は実証時の約半分の70キロに低下しました。この圧力変更による走行距離の減少は、技術的最適化であると同時に、安全基準と運用実態の折り合いをつけるプロセスを示しています。 ここで問い直すべき前提は「営業運転開始=脱炭素化の加速」という等式です。HYBARIはディーゼル置き換えの先行事例ですが、現状では非電化区間の全面カバーには遠く、走行距離や充填インフラの整備が限定されています。実行レイヤーは鉄道会社と車両メーカーに集中し、水素の安定調達や地域連携といった供給側の設計はこれからです。物語は壮大ですが、実体はニッチな路線での試験運用に留まります。 次の観測点は、国土交通省の連絡会が2025年度までに示す技術基準と、2030年度末を目標とする次世代車両の開発スケジュールです。

水素を燃料とするハイブリッド電車「HYBARI(ひばり)」が、2027年度末に営業運転を開始します。JR東日本は7月14日に発表しました。「HYBARI」は、水素と空気中の酸素を化学反応させて発電する燃料電池と蓄電池を組み合わせた、日本初の水素ハイブリッド電車です。 JR東日本、日立製作所、トヨタ自動車の3社が持つ鉄道・自動車技術を融合して開発された車両で、2022年3月から南武線や鶴見線などで走行試験や実証運転を重ねてきました。営業運転を行う線区も同様に、鶴見線および南武線(尻手〜浜川崎間)を予定していると発表されています。 「HYBARI」は2両編成の車両です。屋根上に高圧水素タンクを搭載し、床下にはトヨタの燃料電池車「MIRAI」の技術を応用した燃料電池システムと蓄電池を配置する構造となっています。燃料電池で発電した電力と、回生ブレーキで回収した電力を活用して走行するため、走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しないのが特徴です。 JR東日本はグループの経営ビジョンのもと、2050年度までにCO2排出量「実質ゼロ」の達成を目指しており、「HYBARI」の営業運転は鉄道部門の脱炭素化を加速させる取り組みの一つと位置づけられています。 営業運転で使用する水素は、川崎市にある鎌倉車両ベース(中原)=鎌倉車両センター中原支所に整備される設備で充填されます。同支所では、35メガパスカル(MPa)の高圧水素を安全に充填するための施設が整備されており、営業運転開始後はこの拠点から鶴見線と南武線支線に向けて「HYBARI」が運行される予定です。 1回の水素充填で走行できる距離については、実証試験段階では最大約140キロメートルとしていましたが、水素充填圧力を70メガパスカルから35メガパスカルに引き下げたことなどにより、営業運転では約70キロメートルを基準とする考え方が示されています。走行形態や安全基準に合わせて、充填圧力と走行距離を調整しているとみられます。 JR東日本は、今回の営業運転開始に加え、ディーゼル車両と同等の走行距離を目指した次世代水素ハイブリッド電車の開発にも着手しています。将来的には、非電化区間で広く使われているディーゼルカーを水素燃料電池車両へ置き換える構想があり、2030年度末の営業運転を目標に、新型車両の開発と高圧水素の短時間充填を可能にするインフラ整備を進める計画です。 国土交通省も2023年、「水素燃料電池鉄道車両等の導入・普及に関する連絡会」を設置しました。非電化区間のディーゼル車両を水素燃料電池車両に置き換える構想を軸に、安全対策や技術基準の議論を進めています。 国内ではJR東日本の「HYBARI」が先行事例として注目され、水素の供給体制や地域との連携など、鉄道を軸とした「水素社会」への移行モデルとしての役割も期待されています。 JR東日本は「水素社会の実現によるLX(ライフスタイル・トランスフォーメーション)を目指し、さらなる環境負荷低減を推進します」としており、通勤・通学や生活圏の移動手段を、より環境負荷の少ないものへ転換していく方針です。 補助金採択後に差がつく 実行力 とは~成果を生み出す運用フェーズの考え方~ 日本国旗損壊罪が成立 表現の自由との関係に課題残す Copyright 東京報道新聞 All rights reserved.

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