JR東日本G、水素を利活用したLXの取組みを推進。2027年度末に日本初の水素ハイブリッド電車 ...
専門家の視点
JR東日本グループの発表は、2050年度CO2実質ゼロという長期目標のもと、2027年度末の水素ハイブリッド電車「HYBARI」営業運転開始と次世代車両開発、川崎発電所での水素1%調達宣言という三つの施策を同時に打ち出しています。この構造を実体・物語・期待で整理すると、**物語先走りのリスク**を内包していることが見えてきます。 実体として確認できるのは、HYBARIが実証試験を経て車両性能の検証を終えたこと、営業運転の開始時期と路線、走行距離約70kmという具体的なスペックです。しかし、次世代車両は2030年度末目標で開発着手段階、発電所の水素転換もまず1%からと、多くの施策が詳細なコストや水素調達計画を含め「今後改めてお知らせ」する状態です。ここに実体と物語の間に**時間軸のズレ**が生じています。 物語は「持続可能で豊かな地球環境」というビジョンで統一されており、水素が脱炭素の切り札であるとのフレーミングが明確です。しかし、隠れた前提として「水素が安定供給され、かつ経済的に成立する」という状況が当然視されています。
2026年7月14日、JR 東日本グループは、下記の発表を行った。 JR 東日本グループは、経営ビジョン「勇翔 2034」で掲げる“持続可能で豊かな地球環境”の実現に向け、2050 年度までに CO₂排出量「実質ゼロ」の取組みを推進している。このたびその一環として 2027年度末に日本初の水素ハイブリッド電車「HYBARI」の営業運転を実現する。さらに、次世代水素ハイブリッド電車の開発をスタートすることに加え、川崎発電所において水素1%調達宣言に参画する。将来的には、水素社会の実現による LX(ライフスタイル・トランスフォーメーション)を目指し、さらなる環境負荷低減を推進する考えだ。 1.水素を利活用した LX の取組み JR 東日本グループは、「勇翔 2034」で掲げる持続可能で豊かな地球環境の実現を通じ、2050年度の CO2排出量「実質ゼロ」に向けた歩みを着実に進めている。そして、カーボンニュートラルに向けたエネルギーとして水素を利活用した取組みをモビリティ(鉄道)・発電・まちづくりの各分野で進めている。 ①水素ハイブリッド電車「HYBARI」の営業運転 JR東日本では、脱炭素社会の実現に向けて、2022年3 月より、水素ハイブリッド電車「HYBARI」の実証試験を行ってきた。「HYBARI」は水素を燃料とする燃料電池装置と蓄電池を搭載したハイブリッド電車で、「HYBARI」に搭載された水素は燃料電池に供給され、空気中の酸素と化学反応させることにより地球温暖化の原因となる CO2を排出せずに発電できる。これまでの実証試験を通じて、鉄道車両としての車両性能やシステムの安定性を検証することができた。 今回、試験車両である「HYBARI」について、日本初の水素を利用した営業車両としての改造を行い、2027 年度末を目途に、鶴見線および南武線(尻手~浜川崎間)にて営業運転を開始する。また、「HYBARI」の水素充填は、鎌倉車両ベース(中原)において 35MPa の高圧水素で実施し、1 回の充填で走行できる距離は約 70kmとなる。なお、「HYBARI」の営業運転の詳細については、今後改めてお知らせする予定。 ②次世代水素ハイブリッド電車の開発 水素ハイブリッド電車「HYBARI」で得た知見をもとに、次世代水素ハイブリッド電車の開発をスタートする。世界初の 70MPa の高圧水素を使用することでディーゼル車両と同等の走行距離を確保し、連続する勾配線区に対応可能な走行性能を検討していく。これらを両立することにより、広範囲な線区で走行できる鉄道車両を実現することで 2030 年度末目途の営業運転を目指す。次世代水素ハイブリッド電車の運行開始に際しては、より短時間で高圧の水素充填ができる設備を整備する。また将来的には海外で製造され国内に輸入される水素や、国内の再生可能エネルギーが豊富な地域で製造される水素の活用を検討していく。今後世界各地の環境問題へのソリューションとして海外展開も視野に入れる。 次世代水素ハイブリッド電車の営業運転投入による社会実装を通じて、持続可能で豊かな地球環境の実現に向けた歩みを着実に進めていく。なお、次世代水素ハイブリッド電車の概要については、今後改めてお知らせする予定。 2)発電:川崎発電所における水素 1%調達宣言 JR 東日本は、信濃川発電所(水力)および川崎発電所(火力)の自営発電所を運用している。信濃川発電所は CO2を排出しないクリーン電源として首都圏の鉄道輸送を支えており、川崎発電所ではこれまで重油や灯油から天然ガス主体への燃料転換を進めるなど、低炭素化に取り組んできた。今後、2030年度の水素を用いた発電開始と 2050 年度のゼロカーボンの実現を目指し、現在、燃料の水素転換に向けた検討を進めている。このたび、川崎発電所における小型専焼機の導入による水素への燃料転換の実現を通じ、保有する火力発電設備の燃料使用量の 1%以上を水素とすることを目標として水素バリューチェーン推進協議会の「水素 1%調達宣言」に参画した。本目標は、水素利活用拡大に向けた第一段階の取組みとして位置づけており、2050 年度の水素専焼等によるゼロカーボン実現に向けて、さらなる利用拡大を検討していく。なお、海外からの輸入が計画されている水素の供給を受けることを考えていく。 詳しくは、→https://www.jreast.co.jp/press/2026/20260714_ho02.pdf
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