山口県、GX戦略地域目指す 脱炭素化、企業連携しインフラ設置案
企業のGX対応事例として、現場で何が求められるかを知る手がかりになります。
専門家の視点
山口県がGX戦略地域を目指し、企業連携によるインフラ設置案を打ち出しました。この枠組みの実体は、県内の産業集積(特に化学・鉄鋼)の脱炭素化を、自治体主導で推進しようとする点にあります。しかし、物語の中心は「産業と環境の両立」というビジョンですが、肝心の「誰がどの程度の投資を負担するのか」「再生可能エネルギーの導入ポテンシャルはどの範囲か」といった実行レイヤーが抽象的なままです。期待のレイヤーでは、政府のGX推進法や地域脱炭素ロードマップに沿った申請を目指す自治体の姿勢が見える一方、企業側が具体的な設備投資の回収見通しを持てているかは不明瞭です。ここにある構造のズレは、物語先走りというより、実体の翻訳不足です。山口県の産業構造(石油化学コンビナートや宇部興産の立地)は、水素・アンモニアの大規模需要地としての強みがありますが、その強みを具体的な事業化スケジュールや必要電力量の試算に落とし込めていません。次の観測点は、このインフラ設置案が、既存のコンビナートのリプレース計画やカーボンプライシング導入後の競争力評価と結びつくかです。