家庭用エアコンもフロンの「みだり放出」禁止対象に──フロン排出対策中間取りまとめ
専門家の視点
家庭用エアコンの廃棄時におけるフロン類の「みだり放出」禁止が新たな規制対象となる方向です。産業用冷凍空調機器に限られていた規制が家庭用にも拡大されることで、これまで回収・破壊が制度的に曖昧だった領域に実体が生まれます。中間取りまとめとはいえ、制度の射程が広がった点は確かな前進です。 ここで重要なのは、物語と実体の間に潜むズレです。規制対象を拡大するという物語は明確ですが、家庭用エアコンの廃棄現場における執行の実効性が伴うかが問われます。特に回収の担い手となる家電リサイクル業者の処理能力や、消費者への周知徹底という実行レイヤーが未だ具体的に示されていません。制度導入が先行しても、現場の準備が追いつかなければ実質的な排出抑制には結びつきにくい構造です。 また、この規制が想定する「みだり放出」の禁止が、そもそも末端の解体業者や個人による廃棄行為まで実効的にカバーできるのかという隠れた前提があります。違反の監視と罰則の実効性が整備されなければ、規制は絵に描いた餅に終わるリスクをはらみます。
経済産業省「フロン類対策WG」と環境省「フルオロカーボン対策小委員会」の第4回合同会議において、フロン類のさらなる排出抑制に向けた対策の方向性について、中間取りまとめが行われた。 フロン類とはフルオロカーボン(フッ素と炭素の化合物)の総称であり、フロン類のうち塩素を含むCFC(クロロフルオロカーボン)とHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)は、オゾン層を破壊するという性質を有する。このため、1985年のウィーン条約、1987年のモントリオール議定書により、すでにこれら「特定フロン」の新規生産は全廃されている。 塩素を含まない代替フロンとして導入されたHFC(ハイドロフルオロカーボン)は、オゾン層を破壊しないものの、地球温暖化係数はCO2の数百~数千倍の大きさであるため、2016年にモントリオール議定書が改正され(キガリ改正)、先進国では2036年までに生産量・消費量を基準年比で85%削減することが義務づけられた。これを受けて、日本では2018年にオゾン層保護法が改正され、HFCsの生産量・消費量の段階的な削減が進められている。 2024年度におけるHFCsの排出量は約2,760万t(CO2換算)と日本全体のGHG排出量の約3%を占めており、地球温暖化対策計画における2030年・2040年の削減目標の達成に向けては大きなギャップが残されている。 経済産業省「フロン類対策WG」と環境省「フルオロカーボン対策小委員会」の第4回合同会議では、フロン類のさらなる排出抑制に向けた対策の方向性について、中間取りまとめが行われた。 HFCs(代替フロン)排出量を機器の種類別に見ると、業務用エアコンが約33%、業務用冷蔵冷凍機器が約24%と多く、次いで家庭用エアコンが約23%となっている。機器のライフサイクル段階別の排出量は、廃棄時が約46%と最多であり、次いで使用時が約42%となっている。これらをクロス集計すると、「業務用エアコン・廃棄時」が最大の約20 %となっている。 Copyright ITmedia, Inc. All Rights Reserved. ITmediaはアイティメディア株式会社の登録商標です。 メディア一覧 | 公式SNS | 広告案内 | お問い合わせ | プライバシーポリシー | RSS | 運営会社 | 採用情報 | 推奨環境
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