脱炭素で生乳買い取り増額 業界が27年度実証実験へ | NEWSjp
専門家の視点
脱炭素と酪農経営の健全化という二つの目的が一つの仕組みに詰め込まれた点が、この記事の核心です。実体として、酪農家の6割が赤字で年間5%減少する現実があります。これに対し、物語として「脱炭素の取り組みに応じた買い取り価格の上乗せ」という解決策が提示されています。しかし、この構造には「期待先行」のズレが潜んでいます。実証実験の開始は2027年度であり、タイムラインが長い点が問題です。脱炭素の効果が目に見える形で現れる前に、酪農家の減少という実体が加速する可能性があります。農水省は50年までのカーボンニュートラル目標を掲げますが、その前に経営破綻が進めば、目標達成の基盤自体が失われます。また、「GHG簡易算定ツール」でデータを提出する酪農家の負担や、算定の信頼性が担保されるのかという実行レイヤーの問いも未解決です。この仕組みが効果を発揮するには、脱炭素の対価が経営改善に直結する水準であることと、算定作業が現場の追加負担にならないことの両立が不可欠です。現時点では、制度の設計段階と酪農家のリアルな経営時間軸に明確なギャップがあります。
乳業メーカーなどが連携し、酪農家の脱炭素の取り組みに応じて生乳の買い取り価格を増額する実証実験を2027年度にも始めることが16日、分かった。農林水産省も支援し、脱炭素だけでなく経営が苦しい酪農家の支援にもつなげる狙い。 農水省は50年までに農林水産分野で温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロにする目標を掲げている。酪農や畜産では牛のげっぷや堆肥に含まれるメタンガスなどの削減も課題となっている。 実証実験は農林中央金庫(農林中金)が運営する、食品業界の脱炭素化を目指すコンソーシアムで協議を進めてきた。仕組み案では農水省が提供する「GHG簡易算定ツール」を使い、生産網全体で排出された温室ガスを把握。酪農家からデータの提出を受け、乳業メーカーは買い取り価格を上乗せする。メーカー側はデータで得られた削減量を、自社の削減目標に算入できるという。 業界団体の中央酪農会議の調査では酪農家の6割が赤字だ。農家の数は年間約5%減少している。
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