ESG・金融

IFRS、SASB改訂(Phase2)の検討資料を公表 テクノロジー・通信分野を次期優先候補に

2026-07-15
ISSBがSASB基準のPhase2改訂に関する検討資料を公表し、テクノロジー・通信分野を次期優先候補とした。

専門家の視点

SASB改訂Phase2の検討資料が示したのは、テクノロジー・通信セクターが次期優先候補であるという明確な方向性です。ここには、実体としてAIや半導体、データセンターといった分野が急成長し、水資源や人的資本といった新しいリスクが顕在化しているという事実が存在します。しかし、この構造の中心にあるのは「物語先走り」のリスクです。基準の改訂という物語は、投資家ニーズや時価総額の大きさという期待に強く牽引されていますが、肝心の開示を実行する企業側の実務対応や、データ収集のためのシステム・人材といった「実行レイヤー」が追いついているかは不透明です。また、この記事が当然としている「投資家にとっての重要性=改訂の優先順位」という前提自体に問い直しをかける必要があります。例えば、環境負荷の高いセクターほど、企業価値へのインパクトが迅速に顕在化する可能性もあるからです。次の観測点は、ISSBがどのようなフィードバックを基に、テクノロジー・通信セクターの改訂スコープをどこまで具体的に絞り込むかという一点です。このプロジェクトが実務を支える道具として機能するかは、まさにここから決まります。

7月15日、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、7月21~22日に開催する審議会(のアジェンダペーパーを公表し、「Enhancing the SASB Standards(SASB改訂)」のPhase2(改訂の範囲)に関する検討資料を公開している。次期改訂の優先対象としてテクノロジー・通信セクターを中心に包括的に見直す案が示されている。なお、本案はあくまで提案であり、会議ではこの方向性について審議が行われる予定である。 SASB改訂は、ISSBの2024~2026年の間の一環として進められているプロジェクトで、IFRS S1およびIFRS S2の実務適用を支援するとともに、SASB基準を利用しやすいものへ更新することを目的としている。 プロジェクトのPhase1(2025年7月)では、石炭、鉄鋼、金属・鉱業、石油・ガス、加工食品、家電など9業種を対象とした公開草案を公表。2026年3月には、農産物、食肉・乳製品、電力の3業種を追加する公開草案を公表した。現在、2025年7月公表分のフィードバック分析と、2026年3月公表分のコメント募集(7月24日まで)が進められている。 今回公表されたPhase2の検討資料では、ISSBスタッフが次の改訂方針として以下、3つの選択肢を提示した。 特に、Technology Communicationsセクターは、AI、サイバーセキュリティ、データガバナンス、半導体、データセンター、水資源利用、人的資本など急速に変化するリスク・機会を抱えており、投資家ニーズも高いことを理由として挙げている。また、このセクターはS P Global 1200指数の時価総額の約38%を占めることから、投資家にとって重要性が高いとしている。 なお、この資料はISSBスタッフによる提案であり、Technology CommunicationsセクターがPhase2として正式決定したわけではないので、今後も注視が必要になる。すべてのセクターにおけるSASB改訂が完了するまではまだ時間がかかりそうだ。 原文:International Sustainability Standards Board ESG Journalでは、実務に役立つポイントや実践ガイド(テンプレート)を紹介しています!欧州・米国の最新基準に対応するための実務ポイントを、具体的なアクションレベルで整理しています。🌍海外開示制度・基準への対応に関連する実務解説はこちら>>> ✅SASBスタンダード対照表のメリット✅作成ステップ ✅セクター別の主な論点✅SSBJ基準開示での対応ポイント ✅カリフォルニア州気候開示制度の全体像✅今から企業が準備できる開示のポイント

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