JBS、気候戦略を見直し 測定可能な目標と実行重視へ転換
専門家の視点
JBSが2040年ネットゼロ目標から、Scope1・2の原単位削減目標へと戦略を転換した背景には、「測定できないものは管理できない」という厳格な現実認識があります。世界各地の独立生産者を巻き込むサプライチェーン全体では、データ基盤や算定手法が整わず、進捗の一貫評価が困難だったという構造的な課題が存在しました。ここで見直されたのは、目標の「幅広さ」から「実行可能性」への軸足の移動です。物語先走りの構造といえます。2040年ネットゼロという壮大なビジョンに対して、実体(測定技術・データ基盤・サプライチェーンの実態)が追いついていなかったのです。新目標では、自社の工場や施設といった直接管理可能な範囲に焦点を絞り、基準年・算定手法・第三者保証を明確化しました。ただし、この転換には「サプライチェーン排出量の大半を占めるScope3を直接的な目標から外す」というトレードオフが内在します。森林破壊リスク対応や生産者支援は継続するとしていますが、それらは気候目標の代替ではなく、調達強靱化や供給安定といった別目的に位置付けられました。
7月8日、JBSのグローバル最高サステナビリティ責任者(CSO)のジェイソン・ウェラー氏は、同社の気候・サステナビリティ戦略の見直しについて公表した。従来の幅広い目標から、測定可能性と説明責任を重視した実行可能な枠組みへ移行し、事業活動における温室効果ガス(GHG)排出削減を中核に据える方針を示した。 JBSは2021年に2040年までのネットゼロ達成を掲げたが、世界各地の数十万の独立した農業生産者を対象とするサプライチェーン全体では、測定手法やデータ基盤、技術の整備が十分ではなく、進捗を一貫して評価することが極めて困難であるとの認識を示した。そのため、直接管理できる事業活動に重点を置いた目標へと戦略を見直した。 新たな目標では、2019年比でScope1・Scope2のGHG排出原単位を2030年までに30%、2050年までに70%削減することを掲げる。対象は世界各地の工場・施設におけるエネルギー使用、燃料、冷媒、廃棄物などの直接的な事業活動であり、明確な基準年、統一した算定手法、毎年の情報開示、第三者保証を通じて進捗を管理する。 また、水利用効率の向上や再生可能電力の活用も継続して推進する。これらはGHG排出削減だけでなく、事業運営やコスト構造にも直結する運営指標として位置付けられる。 一方で、サプライチェーンにおける取り組みも継続する。生産者支援、生産性向上、責任ある調達、サプライチェーンの透明性向上を推進し、特にブラジルでは森林破壊リスクへの対応を重視する。ただし、これらは事業活動における気候目標の代替ではなく、調達の強靱化や生産者の生計向上、長期的な供給安定を目的とした取り組みと位置付けている。 原文:Turning Sustainability Ambition into Operational Progress 日本語参考訳: 持続可能性への意欲を業務上の進歩へと転換する ESG Journalでは、実務に役立つポイントや実践ガイド(テンプレート)を紹介しています!国際的な動向からも気候変動への対応や開示の高度化が進んでいます。ぜひこの機会に自社の実務対応を再確認してください。🌍気候変動開示への対応に関連する実務解説はこちら>>> ✅それぞれの制度の概要を比較✅両制度の共通点と活用方法 ✅スコープ2改定案における変更点の全体像✅エネルギー調達戦略とデータガバナンスの解説 ✅SSBJ実務対応案で示されている方向性✅今から企業が準備できる開示準備のポイント
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