大林組、低炭素コンクリの海外供給体制を確立
専門家の視点
インドネシアという日本とは材料規格も気候も異なる市場で、セメント混合率30%未満かつCO2排出量60%以上の削減を実証したことは、いわゆる「実体が翻訳されていない」構造の典型例です。すなわち、技術的な実績は着実に積み上がっているものの、この成果がなぜ大きな意味を持つのかという社会への説明(物語)が、単なる技術ニュースとして矮小化されている可能性があります。この記事の隠れた前提は、「低炭素コンクリートの海外展開=技術移転で完了」という発想です。しかし、本当の論点は「排出削減効果がいつ・どこで・どの程度の規模で、社会の脱炭素目標に貢献するのか」という時間軸と実行レイヤーです。今回の試験施工はデータセンター基礎という限定的な用途であり、インドネシアの広範な建設需要に乗るには、Pionirbetonとの連携を越えた現地の建設業界全体の受容態勢や、低炭素材のコスト競争力の持続性が問われます。大林組という一企業の成果を、排出削減の社会的実装へとつなげる物語が不足しています。
大林組は、同社開発の低炭素型コンクリート「クリーンクリート」のインドネシア国内の供給体制を確立し、試験施工に成功した。クリーンクリートの海外展開は初めて。セメント混合割合を抑えつつ、現地の環境や施工条件に合わせた配合を確立した。 建設分野では、カーボンニュートラルの実現に向けて、施工段階を含めたCO2排出量削減の取り組みが求められている。特に、主要資材のコンクリートの低炭素化は重要課題だ。 そこで同社は、セメントの大部分を高炉スラグ微粉末などの産業副産物に置き換えることで、CO2排出量を大幅に削減できるコンクリート「クリーンクリート」を開発し、日本国内の活用と海外適用を検討してきた。 ただ、海外では、使用材料の性能や品質規格、気候条件などが日本と異なるため、国内で確立した材料配合や品質管理手法をそのまま適用することは難しい。 今回、インドネシアでは、現地で調達可能な材料や製造・施工条件に適合させながら、強度発現や施工性、経済性を確保しつつ、低炭素化との両立に取り組んだ。 具体的には、インドネシアの生コンクリート製造大手「Pionirbeton Industri(PBI)」と連携し、クリーンクリート適用に向けた各種試験を実施した。 その結果、現地で調達可能な材料を利用して日本国内と同様にセメント混合割合を30%未満に抑えつつ、施工条件に適合した配合を確立した。従来のコンクリートと比較してCO2排出量を60%以上削減できるクリーンクリートの現地製造を実現した。 試験施工では、データセンター建設工事において、仮設建物の基礎にクリーンクリートを適用した。PBIの生コンクリート工場で製造したクリーンクリートを現場まで運搬し、コンクリートポンプ車で打設した結果、仕上がり面にもひび割れなどの不具合は見られず、良好な品質で施工できることを確認した。 同社は、今回の取り組みを通じて得られた知見を基に、現地条件に適合した配合と施工条件の最適化を進め、同国の建設工事での適用拡大を目指す。
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