[社説]製鉄の脱炭素に不退転で挑め
日本の産業部門CO2排出の約4割を占める鉄鋼業の脱炭素化について、社説として不退転の挑戦を促す記事
専門家の視点
高炉から電炉への転換という明確な方向性が示されましたが、構造的なズレは「物語先走り」と「実体の時間軸」にあります。日本製鉄とJFEスチールの投資額合計約1兆2000億円は確かに巨額ですが、2029年度や2028年度の稼働開始というスケジュールは、2030年までの排出量削減目標に対して遅すぎます。新設の電炉が本格稼働する前に、現行の高炉が排出し続けるCO2の累積量をどう扱うのかという「過渡期の空白」が放置されています。また、記事は高級鋼の品質維持と電炉生産の両立を「挑戦」と表現しながら、現時点で自動車用高級鋼を電炉で安定的に量産できる技術が確立しているかという実体には踏み込んでいません。米国の電炉比率7割という数字は、米国が日本ほど高級鋼の比率を求められていない市場構造の違いを無視しています。さらに隠れた前提は「電炉化が完了すれば脱炭素は達成される」という点です。鉄スクラップの質や量の制約、電炉に必要な電力のカーボンフリー化、そして水素製鉄のコスト競争力という、さらに深い実体の課題が積み残されています。
一次ソース
- https://nikkei.go.link/article/DGXZQODK133MJ0T10C26A7000000?adj_t=1lssb67q&adj_campaign=article
- https://regist.nikkei.com/r123?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQODK133MJ0T10C26A7000000&n_cid=DSPRM1AR08
- https://regist.nikkei.com/r123?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQODK133MJ0T10C26A7000000&n_cid=DSPRM1AR08#free