コーセーHD=南アルプス工場、2040年までに熱源の100%を水素に
専門家の視点
コーセーHDの南アルプス工場における2040年までの熱源100%水素化目標は、実体と物語の間に明確なズレを抱えています。実体として、工場は完成し、グリーン水素の供給元である米倉山のP2Gシステムは存在しますが、現時点で水素が熱源として実際に使われているわけではありません。太陽光発電や水力電力といった導入容易な要素を先行させ、水素への切り替えは「段階的」かつ2040年という長期目標として設定されています。これは、水素の供給量やコスト、設備転換の技術的課題が未確定である現実を反映しています。一方、物語は「地産地消」「CO2フリー」を前面に掲げ、未来志向のビジョンを強調しています。しかし、その物語が具体的な切り替え工程や中間KPIを欠いている点で、物語先行の構造です。 ここで問い直すべきは、水素が「熱源の全て」として本当に経済合理性を持つのかという前提です。化粧品製造の低温プロセスに水素燃烧による高温熱を投入することのエネルギー効率は、再検討の余地があります。 結論として、この発表は「物語先行」の典型的な事例です。
コーセーホールディングスは新設した南アルプス工場(山梨県南アルプス市)で使用する熱エネルギー源について段階的に化石燃料から転換を進め、2040年までにすべて水素に切り替えることを目指す。9日の発表によると、コーセーHDは同日、国内3カ所目の生産拠点である南アルプス工場で化粧品の生産を本格的に開始した。同工場では製造時に二酸化炭素(CO2)を排出しない山梨県産の「グリーン水素」や、県営水力発電由来の電力を利用し、エネルギーの地産地消を推進する計画。 コーセーHDは、甲府市にある米倉山電力貯蔵技術研究サイトで製造されたグリーン水素を活用する。山梨県は研究サイトでCO2フリー水素の利活用を目指し、再生可能エネルギー電力から水素を製造し、貯蔵・利用するP2G(Power to Gas)システムを東レ、東京電力ホールディングス、東光高岳と共同で開発している。 地元のグリーン水素と水力由来の電力のほか、コーセーHDは南アルプス工場の化粧品製造で県の豊富な水を最大限に活用し、県の日照時間の長さを活かし太陽光による自家発電も行うという。南アルプス工場は、地上3階の鉄骨造。延床面積が3万9,280平方メートル、敷地面積が11万763平方メートル。380億円を投資し、2024年7月に着工、今年2月に完成した。 写真の出所: コーセーホールディングス 発表資料
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