東洋炭素、助川電気、日本製鋼所、IHI…米IT大手も熱視線の「小型モジュール原子炉=SMR」で ...
専門家の視点
SMRへの注目は、データセンターの電力需要逼迫という明確な「実体」に端を発しています。IEAの予測する電力消費倍増は、もはや選択肢ではなく必然の課題です。しかし、この記事が描く「SMRが切り札」という「物語」は、現実の技術的・制度的なハードルと大きく乖離しています。特に、実用化の具体的なスケジュールや規制認可のプロセス、そして何より「誰が建設・運転を実行するのか」という実行レイヤーが明確に語られていません。グーグルやアマゾンの投資表明は期待を先走らせていますが、これは「物語先走り」の構造です。日本企業の素材・部材技術は強みですが、それらがシステム全体として商用化されるには10年以上の時間軸と、安全規制という制度的な非対称性(導入促進の機運と厳格な審査の両立困難)を乗り越える必要があります。記事が当然としている「SMRは即効性のある解決策である」という前提は問い直されるべきです。SMRは長期の実証と社会受容性の獲得が必要であり、今求められているのは「電力を今すぐ確保する」という時間軸との整合性ではないでしょうか。
生成AIの拡大により、電力需要の急拡大が見込まれている。安定的な電力確保や環境への負荷が懸念される中、にわかに注目度が高まっているのがSMR(小型モジュール炉)だ。グーグルやアマゾンなど米IT大手もSMR関連に積極的に投資をしている。連載『株式相場の歩き方』の本稿では、SMRの仕組みと最新状況を解説しつつ、独自技術に強みがあるニッチ企業から、業界をリードする大手企業までSMRの本命候補6社を取り上げる。(経済ジャーナリスト 和島英樹) 生成AI(人工知能)の拡大に伴い、世界各地で雨後のたけのこのようにAI向けデータセンターが建設されている。そこで課題となってくるのが、伸び続ける電力需要にどう対応するかである。 AIデータセンターの場合、膨大なデータ処理に加えて、大量のサーバーの冷却にも電力が必要になる。国際エネルギー機関(IEA)が2025年4月に発表した報告書では、データセンターの電力消費量は30年までに約9450億キロワットアワー(kWh)まで増加すると予想。24年度の水準と比較すると2倍以上に膨らむことになる。 特に米国のハイパースケーラー(大規模クラウド業者)は、潤沢なキャッシュフローを活用してAIデータセンターへの巨額投資を継続している。米グーグル親会社の米アルファベットは増資による資金調達も実施し、ライバル各社も増資を検討していると報道されている。 一方、ハイパースケーラーは脱炭素を掲げており、「ネットゼロ(温室効果ガス排出実質ゼロ)」を目指している。端的に言えば、クリーンエネルギー化を進める必要がある。 そこで電力確保の切り札的存在として注目されているのが、「SMR(=スモール・モジュール・リアクター=小型モジュール炉)」だ。 SMRとはCO2(二酸化炭素)を排出しない原子力発電の中でも、小型で安全性の高い次世代原発のことである。海外が先行しているが、日本でも原発の建て替え計画が決まり、SMRの実用化に向けて動きが出始めている。 次ページではSMRの現在地を解説。米IT大手によるSMR関連への投資や、日本の最新の取り組みについて紹介する。日本企業は電力需要の急拡大という大きな流れの中、持ち前の技術力を発揮してリードすることができるのか。海外から受注実績を持つ中堅材料メーカーから大手企業まで、SMRで注目の日本企業6社も紹介する。
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