遅れるLPガスの脱炭素 9つの実証、ENEOS系や古河電工
LPガス業界で脱炭素化に向けた技術開発の取り組みが進んでおり、ENEOS系や古河電工など9つの実証が行われている。
専門家の視点
LPガス業界の脱炭素化は、9つの実証プロジェクトが動き出したものの、カーボンニュートラルLPガスの商用化には価格と調達量の壁が立ちはだかっています。ENEOSグローブによる水素と二酸化炭素からの合成や、古河電工の副生水素活用など、技術実証は進んでいますが、現在のLPガス価格と比較してコストは数倍に跳ね上がる可能性があります。この構造は「物語先走り」の典型です。 実体としては、既存のLPガスインフラを転用できる点は強みですが、大量のグリーン水素やカーボンリサイクル資源の安定調達はまだ実現していません。業界団体は2030年ごろの供給開始を掲げますが、需給を成立させる経済合理性の裏付けが弱く、むしろ現行のLPガス需要そのものが都市ガスや電気への代替で縮小している市場構造を無視できません。 隠れた前提は「既存のLPガス需要が維持されること」です。しかし、家庭用・業務用の燃料転換が進めば、脱炭素化の投資回収自体が成立しにくくなります。次の観測点は、実証から商用への移行時に誰がコスト差分を負担するかという実行レイヤーの明確化です。