再エネ・技術

日本政府による石炭火力発電へのアンモニア混焼事業は、コスト高、供給不足、タイミングの3制約で実現困難。再エネ+蓄電池+送電網強化への転換が望ましい。米シンクタンク報告(RIEF)

一般社団法人環境金融研究機構 2026-07-10
技術動向は企業のGX実装や関連業務の理解に役立ちます。

専門家の視点

米シンクタンクの報告が指摘するように、日本のアンモニア混焼戦略は「コスト高」「供給不足」「タイミング」という三つの実体的な制約を抱えています。ここで見過ごせないのは、これらが単なる技術的課題ではなく、制度設計と市場構造の非対称性に根ざしている点です。政府は2030年までの実用化という物語を掲げますが、その前提となるアンモニアの大規模安定調達や価格競争力の裏付けは、現時点では欠けています。検証可能なKPI(重要業績評価指標)が示されず、失敗した場合の想定も議論されていません。この構造は、物語が実体から先行している典型的なパターンです。一方で、報告が提案する「再エネ+蓄電池+送電網強化」は、技術的には既に実証段階にあり、コスト低減曲線も明確です。しかし、この現実的な代替案が政策の中心に据えられていないのは、既存の石炭インフラや関連産業との連続性を重視する日本特有の政策経路依存性が作用しているためです。問題の核心は、脱炭素の手段として「何が技術的に可能か」ではなく、「どの既得権益との整合性が優先されるか」という政治経済の選択にあります。

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