再エネ・技術

原発の電力を活用したAI向けデータセンター…産業団地を整備、松江市が2031年度に稼働へ

2026-07-10
原発電力を活用したAI向けデータセンターを含む産業団地を松江市が2031年度に稼働させる計画で、国が選定するGX戦略地域に関連する動き。

専門家の視点

島根原発の電力をAI向けデータセンターに活用する松江市の計画は、脱炭素と産業振興を一体化しようとする自治体の試みです。実体として、島根原発2号機の再稼働と3号機の建設が進み、安定した大容量の脱炭素電源が物理的に確保されつつあります。経済合理性では、固定資産税相当額の支払いや電気料金補助といった自治体の財政負担が、企業誘致の呼び水となる設計です。ここで注目すべきは、政府のGX戦略地域選定が、補助金の裏付けをもって自治体の行動を強く後押ししている点です。 物語としては、原発を「最大限活用」するという国の方針転換を前提に、「脱炭素電源=産業競争力」というフレーミングが自治体間で共有され、福井県小浜市や新潟県柏崎市でも同様の計画が動いています。しかし、この物語は、データセンターが実際にどれだけの雇用と地域経済の循環を生むのか、という実行レイヤーをやや省略しています。施設は巨大電力を消費するものの、運用は遠隔・自動化が進み、地元への波及効果は限定的な可能性があります。 期待先行の構造です。

読売新聞 2026年07月10日 10時25分 松江市内に立地する中国電力島根原子力発電所の電力を利用し、市がAI(人工知能)向けデータセンター(DC)を中核とする産業団地を整備することがわかった。産業振興を目的に2031年度の稼働を目指す。原発の積極的な活用を打ち出す政府の後押しを背景に、他の原発立地自治体でも同様の動きが広がっている。(久米浩之) 産業団地の計画予定地は、市北部の中尾地区にある総面積10・6ヘクタールの市有地。市は、大量の電力を消費するDCの整備に、二酸化炭素を排出せずに安定的に電力を供給できる原発の強みが生かせると判断した。活用する島根原発は24年12月に2号機が再稼働し、建設中の3号機も30年度までの稼働を予定している。 27年度に産業団地の分譲を始め、通信や建設などDCを手がける企業や関連産業の誘致を進める。市は企業に固定資産税相当額を3年間支払うほか、電気料金の約4割を8年間補助する。ソフトバンクも通信網の整備で協力する。島根県や島根大とも連携し、DCを活用した産官学による先端的な研究開発にも取り組む。 国は今夏、脱炭素電源を核に新たな産業集積を目指す「GX(グリーントランスフォーメーション)戦略地域」を選定する。原発などの脱炭素電源を100%活用することなどが条件で、有力候補の松江市が選ばれると、進出企業に対し、工場やDC整備などの設備投資にかかった費用の最大2分の1を国が補助する。 支援を産業振興に生かそうと、同様の動きは他の自治体にも広がる。 関西電力の美浜、大飯、高浜の各原発が近接する福井県小浜市でも、県営の産業団地(30ヘクタール)整備を計画中だ。28年度に分譲を始め、10ヘクタールを「GXエリア」として原発の電力を供給し、半導体などの先端産業を誘致する。 東京電力柏崎刈羽原発6号機が今年1月に再稼働した新潟県柏崎市も、30年12月の企業の入居開始を予定する「鯨波産業団地」(31・3ヘクタール)のうち13・6ヘクタールを「GX産業団地」に定める。地域のデジタル化につながるDC整備などを想定し、原発由来の電力を割安で使える支援も検討する。 背景には、政府の方針転換がある。昨年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画で、原子力について「可能な限り依存度を低減」としてきた文言を削除し、「最大限活用」にかじを切った。今年6月には40年代までに2〜5基、50年代までに計11〜14基の原発の建て替えを目指す新たな目標も打ち出した。 中東情勢の緊迫で、燃料高騰の影響を受ける火力発電と比べ、電気料金が安定している原発への期待も大きい。

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