制度・政策

経産省、東南アジアでのGX分野・協創事業を採択 - ニュース - メガソーラービジネス plus : 日経BP

2026-07-10
経済産業省が東南アジアでのGX分野を含む協創事業を採択した。

専門家の視点

このニュースの核心は、経産省が東南アジアで「協創事業」を採択したという事実そのものよりも、その枠組みが内包する構造的なズレにあります。実体としては、日本のGX技術やノウハウを東南アジアに展開するための補助金制度が動き出したという事実があります。しかし、物語としては「協創」という言葉が強調される一方、現地の制度整備や人材育成といった実行レイヤーがどの程度伴うのかが依然として不透明です。日本企業が持つ高効率な技術を移転しても、受け入れ側の送電網の脆弱性や規制の未整備といった物理的制約が、期待される削減効果を減殺するリスクがあります。 ここでの最大の隠れた前提は、「技術移転さえ行われれば、GXは進む」という発想です。実際には、東南アジア各国のエネルギー市場構造、補助金の政治経済学、地場企業の技術吸収能力といった「現地の実体」が、プロジェクトの成否を左右します。このズレは「物語先走り」の典型であり、期待だけが先行して具体的な進捗が見えない「実体欠落」の危険性もはらんでいます。

経済産業省は、グローバルサウス(新興国、発展途上国)との連携強化を目的とした「グローバルサウス未来志向型共創等事業」に取り組んでいる。令和6年度補正におけるASEAN加盟国での大型実証について、第1回公募で3件、第2回公募で10件を採択した。 「令和6年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業(大型実証 ASEAN加盟国)」は、日本企業がASEAN加盟国で行う実証事業を対象に費用の一部を補助するもの。対象分野がGX(グリーントランスフォーメーション)分野、DX(デジタルトランスフォーメーション)分野、経済安全保障分野のいずれか、事業類型が日本のイノベーション創出につながる協創型、日本の持つ高度技術の海外展開型、サプライチェーン強靭型のいずれかに該当することが条件となる。 第1回は、受付期間2025年6月18日〜7月17日の間に5件が申請され、3件が採択された。再生可能エネルギーや省エネ関連での主な採択案件は以下の通り。 「ジャトロファ栽培とバイオ燃料製造の大規模実証プロジェクト」は、ベトナムにおいて7350ha規模のジャトロファ栽培と日産3万Lのバイオディーゼル燃料の製造体制を構築する。採択事業者はレボインターナショナル。 「ブラックペレットの安定生産と市場形成・サプライチェーン構築実証」は、ベトナムに小型モジュール型高効率半炭化炉を導入したブラックペレット製造工場を設置し、ブラックペレットの生産体制を確立する。採択事業者はローカルエナジーシステム。 第2回は、受付期間2025年12月18日〜2026年1月23日の間に16件が申請され、10件が採択された。主な採択案件は以下の通り。 「冷蔵倉庫におけるDR技術運用実証」は、ベトナムに新設する冷蔵倉庫に、デマンドレスポンス(DR)対応型冷凍機器を導入し、調整力としての有効性を実証する。太陽光発電の自家消費の最適化や電力コスト削減、CO2排出削減効果を定量的に評価する。採択事業者は五十嵐冷蔵。 「船舶燃料アンモニア供給(バンカリング)実証」は、アンモニアバンカリングの実現性を確認し、日本・シンガポール両政府とともに安全で効率的な運営を確立する。シンガポール政府がバンカリング船に求める要件を満たす船を用いてアンモニア燃料船へのアンモニア移送を実証する。採択事業者は住友商事、川崎汽船、日本郵船。 「シリーズハイブリッド車の海外生産・販売実証」は、ハイブリッド車をマレーシアで生産・販売する。現地生産における品質を確保する手法の確立と現地での経験蓄積、従来車と比較したハイブリッド車の価格などに対する顧客の許容度の評価、電動車に対する顧客の期待値や特性を把握・検証する。採択事業者はダイハツ工業。 「大規模BESS+PVシステムを用いた脱炭素化の実証」は、タイにおいて、複数の日系企業工場に合計約20MWhの大規模蓄電池(BESS)と約20MWの太陽光発電設備を導入するオンサイト型PPA(電力購入契約)スキームを実証する。高温多湿の環境に耐える太陽光設備と日本製蓄電池を用いた蓄電システムを組み合わせ、需要変動・日射変動に応じて太陽光発電電力を最適に利用する。採択事業者は東京ガスエンジニアリングソリューションズ。 「AIによる空調・冷凍冷蔵設備の運転制御と省エネ効果最大化を目指す実証」は、タイの大型複合商業施設にAI(人工知能)制御による空調・冷凍冷蔵設備を導入する。日本とは異なる高温多湿なタイにおいても、AIを活用した設備の運転制御の最適化による省エネ効果の最大化が可能なことを実証する。採択事業者は三菱電機。 Copyright 2026 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved. このページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権は日経BP、またはその情報提供者に帰属します。 掲載している情報は、記事執筆時点のものです。

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