欧州議会環境委、CBAM改正案の立場採択 下流製品拡大・迂回対策強化へ
専門家の視点
欧州議会環境委員会が採択したCBAM改正案は、実体と物語の間に明確なズレが生じています。実体面では、下流製品への対象拡大、分割出荷の遡及的責任、軽微加工の迂回行為化という具体的な制度拡充が示されました。これはEUの炭素リーケージ対策が「基礎素材取引」から「サプライチェーン全体」へと攻めの姿勢に転じたことを意味します。 しかし物語には、この実体の影響度を適切に伝えるためのKPIや検証プロセスが欠落しています。「透明性のある定量的手法に基づく」と述べる一方で、どのようなデータで下流製品の炭素含有量を算定するのか、EU域外企業の負担軽減策は何かが示されていません。つまり、制度は走り出したが、企業が実際に使える実行手順は未整備のままです。 ここで問うべきは、「EUは、CBAMの実効性を高めることと、第三国企業の過剰なコンプライアンス負担を軽減することの両立を本当に志向しているのか」という点です。現状の改正案は、回避対策を強化することで執行を厳格化する一方、企業側の準備期間や制度理解の非対称性に目を向けていません。
7月6日、欧州議会は、環境・気候・食品安全委員会(ENVI)が炭素国境調整メカニズム(CBAM)改正案に関する立場を採択したと発表した。 同委員会は、CBAM改正案に関する立場を賛成56、反対11、棄権12で採択。改正案では、CBAMの対象を基礎素材から下流製品に広げる。対象には、ファスナー、ワイヤー、ばね、家庭用品などの鉄鋼・アルミニウム製の完成品が含まれる見込みだ。なお、欧州議会の議員は、対象拡大においては「透明性のある定量的手法」に基づくべきだとしている。 また、オンライン販売についても、輸入の抜け穴を塞ぐため、荷物ごとではなく販売者の出荷全体に対して単一の重量基準を適用することを提案した。分割出荷により閾値未満に抑えた場合の遡及的責任も盛り込んだ。 なお、修正案においては、軽微な加工によるCBAM回避も迂回行為として扱うことが明確化されており、「迂回」が確認された場合、欧州委員会が実際の原産国のデフォルト値を適用できるようにすることも明確化された。ただし、通常の事業上のコスト削減や生産拠点の変更などまで規制対象にはしないことが盛り込まれている。 同委員会はあわせて、一時的脱炭素基金(TDF)に関する立場を賛成59、反対16、棄権6で採択した。TDFによる支援期間は、欧州委員会案の2028年開始ではなく、2027年から2029年までとすることを求めている。 欧州議会は、9月の本会議でEU加盟国との交渉に向けた立場を採択する予定である。 原文:MEPs strengthen the EU’s carbon border adjustment mechanism and close loopholes ESG Journalでは、実務に役立つポイントや実践ガイド(テンプレート)を紹介しています!欧州・米国の最新基準に対応するための実務ポイントを、具体的なアクションレベルで整理しています。🌍海外開示制度・基準への対応に関連する実務解説はこちら>>> ✅ESRS改訂の全体像✅ESRSの対応ポイント ✅CBAMの対象事業者と義務の構造✅CBAM開始に向けた主なEU域外企業のチェック項目 ✅カリフォルニア州気候開示制度の全体像✅今から企業が準備できる開示のポイント
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