英規格団体BSI。日本企業向けにネットゼロ経営の国際ガイドライン「IWA42」への適合を評価する ...
専門家の視点
BSIが日本市場で「IWA42」認証サービスを始めた背景には、日本企業のネットゼロへの「自信の低さ」という実体があります。調査では日本経営者のコミットメントはG7最低で69%、目標達成の確信も43%と過半数を下回りました。一方、IWA42自体はISOの正式規格ができるまでの暫定措置であり、発行から3年後に見直される点が構造的な弱さです。この認証にどれだけ持続的な実効性があるかは、まだ不透明です。 ここで注目すべきは「物語」の非対称性です。BSIは「日本企業の出遅れ」を需要機会と捉え、認証で国際水準に引き上げる物語を提示しますが、実体として日本企業が本当に不足しているのは認証取得ではなく、移行計画の実行を担う人材と組織の実行力です。認証は「あるべき姿」の枠組みに過ぎず、現場レベルの技術や資金の流れを直接変えるものではありません。 さらに、この認証が「カーボンオフセットに依存しない科学的根拠」を謳う点も、前提を問う必要があります。本当にオフセットを排除した脱炭素経営を短期間で達成できる企業はごく一部であり、認証取得が「形式だけの野心」に終わらない保証はありません。
国際規格の認証機関である英BSIの日本法人、BSIグループジャパン(横浜市)は、企業の「ネットゼロ」に向けた脱炭素戦略の実効性と信頼性を評価する国際ガイドライン「IWA42」に基づくネットゼロ戦略等への適合性に関する第三者認証サービスを、日本市場でも展開すると発表した。SSBJによるサステナビリティ情報開示が大手企業は2027年3月期から適用されるほか、国内排出量取引制度(GX-ETS)も始まることなどを受けて、日本企業の気候関連情報開示の「野心度」を評価・認証するサービスを提供する。 BSIが提供するのは、「ネットゼロパスウェイ認証」。国際ガイドラインのIWA42への準拠を認証するのが特徴だ。同基準は、緊急の市場の要求に答えるため、2022 年9月に国際標準化機構(ISO)の基準作成の委員会手順の枠外で、国際ワークショップ協定によって承認された。世界中の関連する利害関係者の最も広い範囲が参加する機会を持つことを確実する手順に従って作成され、 ワークショップの参加者(国)間のコンセンサスで承認されている。 同基準は発行から 3 年後に見直され、市場の要求に応 じて公開仕様書、標準仕様書、またはISOの国際規格に変更することができるとしている。ISOの正式な規格ができるまでの緊急措置の規格といえる。2025年には電気自動車(EV)の最高峰レース「フォーミュラE」が同規格の認証を取得している。カーボンオフセット(排出量相殺)に依存せず、科学的根拠に基づく新たな気候変動対策の認証として国際的に普及している。 今回、BSIは、2050年ネットゼロの実現に向け、企業には目標の宣言だけでなく、実現可能性の高い移行計画の策定と、その信頼性を客観的に示すため、調査会社Censuswideを使って、G7諸国のビジネスリーダー7000人超(7068人)を対象に、ネットゼロに関する動向調査を実施した。それによって、日本企業のネットゼロ目標達成に対する自信や、コミットメントがG7の企業中で最も低いことが浮き彫りになった、と指摘している。 同調査では、全体としては企業は依然としてネットゼロ目標に注力し続けていることが示唆されたとしている。実際、一部でネットゼロの達成について、懐疑的な見方があるにもかかわらず、今回の調査ではG7諸国のビジネスリーダーの5人中4人(78%)が、「経済成長とネットゼロは両立可能」と回答している。また、各国が設定したネットゼロ目標に対応する各企業の取り組みでは、G7の企業全体では83%が積極的にコミットしていると回答した。ただ、日本の経営者でコミットメントを明確にしたのは69%で、G7平均を14㌽も下回った。最高だったカナダ(93%)に比べると24㌽低かった。 逆に、「それほどコミットしない」との評価はG7全体の平均(17%)に対して、日本の経営者は倍近い31%。もっともコミットメント意識が低く、ネットゼロに対して「腰が引けている」状態が浮き上がった。「ネットゼロ目標達成の野心」では、自らの企業が国のネットゼロ目標達成の期限までに、「同目標を達成できると確信している」と回答した日本企業の割合は、G7で最低の43%。G7諸国で唯一過半数を下回った。また「自らが属するセクターは、ネットゼロ目標を達成する」との回答も40%と最低で、「自信」のない経営者が相対的に多いことがわかった。 BSIがこうした調査を背景として、日本市場で、企業の「ネットゼロ」目標達成に向けた脱炭素戦略の取り組みを後押しするために、国際ガイドライン「IWA42」への適合性認証サービスを展開するのは、日本企業の「ネットゼロ戦略の出遅れ」の現状を踏まえ、これらの企業を国際水準に引き上げる潜在的需要が大きいとの見方をしているためとみられる。 「IWA42」は、企業ができるだけ早く、遅くとも 2050 年までに GHG 排出をネットゼロに達するよう、高いレベルの野心を踏まえた共通のアプローチをとるための指針となる原則及び推奨事項を提供する内容になっている。BSIは同基準への適応は、企業の経営組織が、自主的な取組み、規格の採用、政策、国内及び国際的な規制等を含めた共通の参照等を取り入れることになり、企業がグローバルネットゼロの達成に貢献するための行動を起こすのに役立つ、としている。 https://www.bsigroup.com/siteassets/pdf/en/insights-and-media/campaigns/gl-grp-cross-strgc-nss-sus-mpd-mp-globalnzb26-0026-report.pdf https://www.iso.org/files/live/sites/isoorg/files/standards/popu
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