長期脱炭素電源オークションの制度を見直しへ 第4回入札からの変更点は?
専門家の視点
長期脱炭素電源オークションは、容量市場の枠組みで発電事業者に長期の収入安定性を提供する制度です。第4回入札からの見直し方針は、これまでの入札で顕在化した「物語と実体のズレ」への対処と読めます。当初の制度設計は「脱炭素電源へ新規投資が殺到する」という期待先行でスタートしましたが、実際には入札価格や事業リスク評価の難しさから、想定ほど応札が伸びなかったという実体があります。 見直しの核心は「時間軸と実行レイヤーの非対称性」でしょう。投資判断には数十年の収益見通しが必要ですが、制度の細則変更が数年のスパンで行われると、事業者は「ルール変更リスク」を織り込み、結果として要求収益率が上がります。これはカーボンプライシングの不透明さとも連動する問題です。 隠れた前提は「オークションという市場メカニズムが最適な投資促進手段である」という点です。実際には、系統接続や許認可手続きの長期化といった制度的ボトルネックが投資判断を左右しており、ここにメスを入れなければ、オークション詳細の改善効果は限定的でしょう。構造的には「制度の微調整」ではなく「投資環境全体の整合性」が問われています。
政府は脱炭素電源への新規投資を促進することを目的に設置した「長期脱炭素電源オークション」について、第4回入札(2026年度)から一部の制度を見直す方針だ。現時点で示されている主な変更点をまとめた。 電源投資回収の長期的な予見可能性を高め、脱炭素電源への新規投資を促進することを目的に、「長期脱炭素電源オークション」が2023年度に導入され、これまで計3回のオークション開催により、脱炭素電源が約1,330万kW、LNG専焼火力が約1,011万kW落札している。 資源エネルギー庁では、さらなる脱炭素電源への投資による電力安定供給確保を図るため、制度検討作業部会及び電力安定供給WGにおいて、第4回入札(2026年度)に向けた本制度の見直しを進めている。 長期脱炭素電源オークションでは、各回の入札において区分ごとの募集量には上限を設けており、できるだけ政策的意義及び実現可能性の高い案件間での競争を担保するため、燃料サプライチェーンに係る事前審査を行うこととしている。 水素等の「価格差に着目した支援制度」の根拠法である「水素社会推進法」では、長期脱炭素電源オークション案件についても、同法に基づき「計画認定」することとしており、本審査の前の「事前審査(予備審査)」に適合することを長期脱炭素電源オークションの入札要件とした。事前審査は、入札による落札案件選定の前段階のプロセスであるため、可能な限り簡便に審査すべく、総合評価ではなく、チェックリスト方式で基準適合を判断する。 事前審査の基準には、「低炭素の水素・アンモニアであること」や「上流事業に日本企業の出資の見込みがあること」などが定められており、低炭素の具体的な基準値として、水素は3.4kg-CO2e/kg-H2、アンモニアは0.87kg-CO2e/kg-NH3としている。 第3回までの長期脱炭素電源オークションでは、制度初期段階であることを考慮してグレー水素・アンモニアも入札可能としていたが、第4回からは低炭素水素・アンモニアのみが入札可能となる。 なお、本制度の適用対象となる火力(水素・アンモニア・CCS・LNG専焼)の案件はすべて、2050年に向けた「脱炭素化ロードマップ」の作成を求めている。これらの案件(CCSを除く)は過去の落札案件も含め、低炭素水素・アンモニアによって2050年の脱炭素化の達成を求めるよう、見直しが行われた。 Copyright ITmedia, Inc. All Rights Reserved. ITmediaはアイティメディア株式会社の登録商標です。 メディア一覧 | 公式SNS | 広告案内 | お問い合わせ | プライバシーポリシー | RSS | 運営会社 | 採用情報 | 推奨環境
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