国交省脱炭素化制度、まずは国際線 SAF費用分担など、30年ごろ開始へ
国土交通省が脱炭素化制度として、国際線でのSAF費用負担などを2030年頃から開始する方針。
専門家の視点
国交省が2030年ごろの開始を目指す国際線SAF費用分担制度は、物語と実体の間に明確なズレを抱えています。SAFは確かに実用性の高い脱炭素手段とされますが、現時点での世界のSAF生産量は航空燃料需要の1%にも満たず、価格はジェット燃料の3〜5倍です。制度設計だけ先行し、「誰がいくら負担するのか」「不足分はどう補うのか」という実行レイヤーと費用分担の具体像が欠けています。2030年という時間軸は、航空機の更新サイクルや空港インフラ投資から見れば短く、可逆性の低い制度固定リスクも伴います。また、記事が当然視する「SAFの持続可能性」には、原料調達の競合やライフサイクル排出といった別の現実が存在します。この制度は期待先行型であり、国際線という競争市場で日本単独の費用負担が競争力をどう歪めるかという地政学的な視点も抜け落ちています。肝心なのは、制度の枠組みよりも、SAFの量産とコスト低減に具体的な産業政策を紐づけることです。2030年という節目に間に合わせるには、実体が物語に追いつくための逆算された投資と実行計画が今すぐ不可欠ですが、その姿はまだ見えていません。