CO2回収・貯留事業化へ…経産省、建設費最大75%支援
専門家の視点
経産省がCCSの建設費を最大75%補助する支援案を打ち出しましたが、ここには「実体を飛び越えた物語」と「実行レイヤーの不在」という構造的ズレがあります。実体面では、CO2の分離回収・輸送・貯留の各段階で莫大なエネルギー消費とコストが発生し、日本国内の適切な貯留サイトも限られています。それにもかかわらず、記事は「CCSこそ脱炭素の切り札」という物語を強調し、工学的困難や地元合意の難しさを大幅に省略しています。支援策は建設費に集中しており、運転費や長期の漏洩リスクへの対処までは踏み込んでいません。さらに「誰がパイプラインを敷設し、誰が貯留地を確保し、誰が住民に説明するのか」という実行レイヤーの設計が欠落しています。期待先行の政策が先行し、実際の事業化に必要な技術・制度・社会受容の実体が後追いになる典型です。両立しにくい二つの事実──「支援すれば事業化は進む」という政府の楽観と、「CCSの商用化は世界的に難航している」という現実──を突き合わせると、この支援案は短期的なプロジェクト具体化には効果的でも、2030年という時間軸での本格事業化には非可逆的なリスクを抱えていると言えます。
経済産業省は二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CCS)に対する支援措置の中間整理案をまとめた。パイプラインを敷設する案件を念頭に、CO2の分離回収や輸送・貯留に関わる建設費用を最大75%支援する。鉄鋼やセメントなどCO2排出量が多い事業者が脱炭素化を進めるには、CCSを活用する必要がある。インフラ整備を通じて事業化につなげる。 有識者で構成するカーボンマネジメント小委員会で示した中間整理案に支援措置を明記した。CO2のトン当たりの分離回収と輸送・貯留の合計費用と、排出事業者が負担する対策費(排出量取引制度における平均取引価格)の差を踏まえた支援を行う。貯留開始から15年間支援し、支援期間終了後も事業を10年間継続する義務を分離回収事業者、輸送・貯留事業者に課す。建設費は先行支援する。 政府は2030年までにCCSを国内で事業化することを目指している。支援措置により案件の具体化を見込む。
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