出光興産/T2/いすゞ 次世代バイオディーゼル燃料普及で連携
専門家の視点
出光興産、T2、いすゞの3社が進める次世代バイオディーゼル燃料「IRD」の連携は、実体と物語に大きなギャップがない点が特徴です。実体として、既にいすゞが軽油同等のメンテナンス対応を確認し、可搬式タンクによる給油オペレーションの検証という具体的な実行計画が示されています。物語は「自動運転×バイオ燃料」という二つの非連続イノベーションの組み合わせですが、T2はレベル2自動運転で既に商用運行中であり、IRDも従来のバイオ燃料より高品質という技術的裏付けがあります。ここで注目すべき構造的論点は、普及のボトルネックが技術性能よりも「給油スポットの少なさ」と「価格」というインフラと経済性にあることです。隠れた前提を問い直すなら、自動運転トラックの運行ルートが限定的(関東〜関西間500km)である現状で、給油インフラ拡大の投資判断が成立するのかという点です。自動運転の商用エリア拡大とバイオ燃料の給油網整備は、相互に需要を創出する鶏卵関係にありますが、現時点ではどちらかが先行しなければ回り始めない構造です。
カーゴニュース 2026年7月9日 第5450号 出光興産(本社・東京都千代田区、酒井則明社長)、T2(本社・東京都千代田区、熊部雅友代表取締役CEO)いすゞ自動車(本社・横浜市西区、山口真宏社長CEO)の3社は、トラック輸送でのカーボンニュートラルの実現を目指し、次世代バイオディーゼル燃料の普及に向けた連携を開始する。 今夏から出光興産が次世代バイオディーゼル燃料「出光リニューアブルディーゼル(IRD)」をT2に供給し、T2は関東~関西間の約500㎞の高速道路で、大手運送会社など向けに提供中のレベル2自動運転トラックの商用運行でIRDを試験利用する。いすゞはT2がIRDを利用して運行する自動運転トラックに対し、軽油利用時と同等のオペレーションで修理・メンテナンスサービスを提供する。 IRDは、植物由来の廃食油などのバイオマス資源を原料とし、従来のバイオ燃料よりも高品質なため、通常の軽油と同等に使用できる。また、国内法制上、CO2排出量を100%削減したものとみなせるなどのメリットがあり次世代型バイオディーゼル燃料として期待されている。一方で、給油スポットの数が少なく、価格水準は通常の軽油よりも高いことや、トラックの性能や耐久性への影響、故障時の修理・サービス対応が明確になっていないなど、普及に向けた課題がある。これに対し、3社は連携してIRDを継続的に利用する体制を構築し、給油オペレーションの有効性検証や給油スポット拡大を検討し、IRDを含む次世代バイオディーゼル燃料の普及につなげたい考え。 今後の取り組みとして、出光興産は、可搬式燃料タンクを活用することで埋設型の燃料タンクに依存しない運用を可能とし、運送会社がIRDを利用しやすくする。加えて、IRD給油専用サービスステーションの展開や、混合リニューアブルディーゼルの開発などの可能性を検討し、次世代バイオディーゼル燃料のさらなる普及を図る。 T2は、運行する自動運転トラックの1台でIRDの利用を開始し、給油オペレーションを検証する。同社は、高速道路での無人運転と一般道での有人運転を切り替える拠点「トランスゲート」を神奈川県と兵庫県に整備しているが、将来的にはトランスゲートにリニューアブルディーゼルの燃料タンクを設置する考え。当面は、トランスゲート以外の神奈川県内の施設に可搬式燃料タンクを置き、実績を踏まえてトランスゲートでのタンク設置を検討する。 いすゞは、カーボンニュートラルの実現に向け、マルチパスウェイ(全方位)の方針で動力源の開発を進めており、次世代バイオディーゼル燃料は電動化と並ぶ低炭素化ソリューションの有力な選択肢と考えている。今後、出光興産、T2とともに世代バイオディーゼルの試験利用を進め、社会実装に向けた課題解決に協力していく。なお、同社はすでにIRDを利用したT2所有の車両について品質影響を評価しており、軽油と同じ修理・メンテナンス対応で問題ないことを確認している。 * 毎週火曜日・木曜日発行。(祝日は休刊)
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