国交相・農水相が渋谷マルイ建替え現場視察/木造ビルで脱炭素促進
金子国交相が渋谷マルイ建替え現場を視察し、木造高層商業ビルによる脱炭素促進の方針を表明した
専門家の視点
渋谷マルイ建て替え現場を視察した国交相・農水相のコメントは、中大規模木造建築物の普及がカーボンニュートラルに重要だという物語を強調しています。しかし、実体として1件の高層商業施設が建設中という技術実証は進んでいるものの、この事例が直ちに普及拡大を意味するわけではありません。木造建築の普及には、建築基準法の防火規制、設計・施工可能な人材の絶対数不足、木材サプライチェーンの整備、そしてコスト競争力という複数の構造的課題が存在します。視察は省庁連携の象徴的行為ですが、具体的な補助金や規制緩和、人材育成プログラムといった実行レイヤーへの展開がなければ、物語が先行したままになります。また、「木造=脱炭素」という隠れた前提には注意が必要です。木材の炭素固定効果は確かですが、調達源となる森林の持続可能性や、建材としての輸送・加工エネルギー、廃棄時の処理まで含めたライフサイクル評価を伴わなければ、実質的なCO2削減効果は測定できません。この視察はポジティブな一歩ですが、次に問われるのは「この1件をどう一般化し、構造的課題を解決する具体的な制度設計に落とし込むか」という点です。