再エネ・技術

社説/「水素」大動脈構想 官民連携の需要創出に期待する

2026-07-08
経産省がモビリティなど水素活用の具体化会議を発足し、官民連携で需要創出を目指す動きを報じている。

専門家の視点

経済産業省が水素活用の官民会議を発足させた事実が実体です。しかし「水素大動脈構想」という壮大な物語の割に、本文からは需要創出の具体的な手段や数値目標、実行スケジュールが一切見えてきません。典型的な「物語先走り」の構造です。水素需要の創出には、既存のグレー水素からの置き換えコスト、輸送インフラ整備、そして何よりCCS付き水素や再生可能エネルギー由来のグリーン水素の価格競争力をどう確保するかという物理的制約が横たわっています。会議体の立ち上げは手続き上の第一歩に過ぎず、その先で「誰がどのレイヤーで需要を量産するのか」という実行設計が欠落したままです。隠れた前提は「官民連携すれば自動的に需要が生まれる」という楽観視でしょう。実際には、自動車や発電、産業用熱などの各分野で水素の採用を決断するのは個別企業であり、国策だけでは意思決定は動きません。本構想が可逆的な成果を生むには、少なくとも5年単位の実証とコスト低減目標の明示が必要です。会議の今後のアウトプットが絵空事で終わらず、投資家や事業者の行動を変える具体的なKPIを伴うかどうかが、次に注視すべき分岐点です。

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