再エネ・技術

【アメリカ】エネルギー省、原子力建設で特別融資制度新設。ウェスティングハウスへの一括支払条件

2026-07-07
米エネルギー省が原子力サプライチェーン向けの新融資制度を発表し、新規大型原子炉10基を支援する方針を示した。

専門家の視点

米エネルギー省が175億ドルの原子力融資制度を新設した背景には、脱炭素電源として原子力への回帰という「物語」と、小型炉(SMR)に傾斜しがちな市場の「期待」に対し、大型炉のサプライチェーンという実体を再構築しようとする意図があります。対象となるウェスティングハウスへの一括支払い条件は、建設リスクを事業者側に負わせず、政府が前面に出ることでプロジェクトの融資実行性を高める工夫です。 ここで見逃せないのは、過去の米国原子力建設(V.C.サマー/ボーグル)で起こった巨額のコスト超過と遅延という「実体」が、今回の制度設計にどの程度反映されているかです。一括支払いは事業者のキャッシュフロー安定に寄与しますが、完工リスクを政府が実質的に肩代わりする非対称性が生まれます。つまり、物語(原子力復活)と実体(建設リスクの所在)の間にずれがある可能性があります。 構造上の観測点は、融資制度の執行を担う人材と未完成の許認可プロセスです。制度導入は早いが、これらを同時に運用できる体制が整っているとは言えません。隠れた前提は「大型炉10基が2030年までに建設完了できる」という時間軸です。

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