企業動向

NEC。三井住友銀行と連携し、自社のサプライチェーン企業の排出削減を加速する独自の金融 ...

2026-07-07
NECが三井住友銀行と連携し、サプライチェーン企業の排出削減を加速する独自の金融スキームを始めた。

専門家の視点

NECと三井住友銀行が打ち出したサプライチェーン包括型SLLは、サプライヤー企業に金融インセンティブを付与することでCO2削減を加速させる、国内初の枠組みです。このスキームの実体は、サプライヤーがSBT目標をKPIに据え、達成度に応じて優遇金利を得るという仕組みで、NECの伴走支援と第三者評価も備わっています。一方で、物語は「サプライチェーン全体の脱炭素化加速」と掲げますが、肝心の「誰が実行するのか」という実行レイヤーに曖昧さがあります。サプライヤー企業の規模や削減余地は千差万別であり、優遇金利という経済的動機だけで十分な行動変容を起こせるかは不透明です。特に中小規模のサプライヤーにとって、データ収集や目標設定自体のコストや人材不足が障害となり、実体が物語に追いつかない「物語先走り」のリスクが潜みます。また、このスキームはあくまでNECのバリューチェーン内の閉じた枠組みであり、サプライヤーが複数の取引先を持つ場合の排出量の二重計上や、優遇金利が市場全体の脱炭素投資を薄める可能性といった構造的論点が欠落しています。

(上図は、NECが設定したサプライヤー企業の脱炭素化を加速するフレームワーク=同社サイトから引用) NECは6日、三井住友銀行と連携し、NECのサプライチェーン企業全体の温室効果ガス(GHG)削減を推進する独自の金融スキーム「サプライチェーン包括型サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)」を立ち上げると発表した。同スキームでは、NECのサプライヤー企業がScience Based Target(SBT)が定める目標水準をCO2排出削減目標とする「サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPT)」を設定、各企業はその達成状況に応じて、金融機関から借りる資金が優遇金利扱いとなる仕組み。大手企業のスコープ3排出量の大層を占めるサプライチェーンの排出取り組みを後押しするため、企業と金融機関が連携して削減推進の枠組みを設けるのは国内では初めて。 NECは2040年までにGHG排出量ネットゼロ達成を目標に掲げ、バリューチェーン全体の脱炭素化を推進している。これまで、サプライヤーと一体となった取り組みとして、サプライヤー企業のCO2削減を段階的に進める「NEC Green Supplier Program(NGS)」により、サプライヤー企業の排出量の可視化や算定支援、削減目標の設定、施策実行の支援等を展開している。 これらの支援活動によって、サプライヤー企業のCO2排出量の可視化や削減目標設定は着実に進展してきたが、2040年の目標達成のためには、スコープ3の排出量に占めるサプライチェーン全体の削減の取り組みを加速するための新たな動機付けや仕組みの導入が重要と判断し、今回の「金融インセンティブ」を盛り込んだスキームを構築した。 新たなスキーム(上図)では、まず、SLLによる資金調達を希望するサプライヤー企業がNECに対して申し込みをする。それを受け、NEC、同企業、およびローン提供金融機関の3者が連携し、金融機関は当該企業にSLLによる貸し出しを行う。NECは伴走支援で同企業の排出削減を支援する。 軸になる金融イニシアティブのSLLは、サステナブルファイナンスの方式の一つで、企業等がサステナブル目標の指標となる重要業績指標(KPI) を選定し、借り入れに際して、同指標の改善を目標とするSPTを設定する。企業は同SPTを達成した際に、金融機関から融資資金の返済利子を低くする優遇金利の適用を受けるメリットを享受できる特典を得ることができる仕組みだ。SLLでの借入資金は、借り入れた企業の一般資金として活用できる。 今回のスキームは、サプライヤー企業ごとに設定するKPIに基づき、金融条件が連動するSPT型の仕組みを採用しており、各サプライヤー企業は個別に同スキームに基づく資金の借り入れが可能になる。同時に、本仕組みをサプライチェーン全体に展開できるようにも設計している。NECは「これにより、NECとサプライヤが一体となってCO2の排出削減を推進し、サプライチェーン全体の脱炭素化の加速と持続可能な社会の実現に貢献する」と強調している。 同スキームの国際基準および日本のガイドラインへの適合性については、格付投資情報センター(R I)が第三者評価を提供している。 今回の仕組みの構築では、NECの取り組みに際して、三井住友銀行が協力して仕上げたが、個々のサプライヤー企業への同仕組みでのSLLによる資金の提供は、同行だけでなく、他の金融機関もできるとしている。SPTでの優遇金利の提供は、対象企業の目標達成状況に基づき、融資を実行する各金融機関によって判断・実施される。SPTの目標を達成できなかった企業は、各金融機関の標準金利の適用を受ける。 NECは対象サプライヤー企業から、SPTの達成状況に関するデータを収集し、現行のNGSプログラムによって実施しているサプライヤーエンゲージメントに活用するとしている。 https://jpn.nec.com/press/202607/20260706_01.html https://jpn.nec.com/press/202607/images/0601-01-01.pdf 会員専用のE-learningや動画ニュースが見放題!! サステナビリティ情報開示基... 企業のサステナビリティ報告のグローバル・フレーム... 日本発の「稲作カーボンクレ... 水田を中干しすることで、カーボンクレジットを創... 東京金融取引所、木下信行社... 気候変動のコストを最適化する上で注目が集まるの... サステナブルファイナンス大... 第六回(2020年)サステナブルファイナンス大賞で... 第5回サステナブルファイナン... 第5回(2019年)サステナブルファイナンス大賞は東... 提言:学校教育改革の進め方 ...

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