エネ庁、苫小牧CCS実証完結 関係機関に知見承継 : 化学工業日報 電子版
資源エネルギー庁が苫小牧でのCCS実証事業を完了し、関係機関に知見を引き継ぐ
専門家の視点
CCS実証事業の「完了」と「知見承継」という二つの事実は、技術的な実証が一定のラインを超えたことを示していますが、ここには構造的なズレが潜んでいます。実体としては、CCSの分離・回収から圧入・貯留までの一連の技術は確立されつつあるものの、コストや規模感、法制度面での課題は未解決のままです。物語は「実証完了=次の段階へ」と前向きにフレーミングされていますが、肝心の「誰がいつ、どの規模で事業化するのか」という実行レイヤーが不明瞭なままです。期待は、政府主導の実証を民間が引き継ぐことで市場が動き出すというシナリオに寄っていますが、現実にはCO2の輸送インフラや貯留適地の確保、長期責任の帰属といった制度的な非対称性が解消されていません。ここで問い直すべき隠れた前提は、「CCSは貯留さえできれば終わり」という認識です。実際には、漏洩リスクのモニタリングや、貯留サイト閉鎖後の長期管理という、数十年単位の不可逆的な責任が事業者にのしかかります。この構造の核心は、技術の実証と事業の実行可能性が時間軸で大きくズレている点です。