サステナビリティの財務評価に大きな隔たり 定量化できる企業は2割未満
専門家の視点
経営幹部の72%がサステナビリティ戦略を「理解している」と答えながら、財務影響を定量化できているのは19%にとどまります。このギャップの本質は、戦略が「物語」として共有されている一方で、「実体」としての数値裏付けが追いついていない点です。つまり、物語が実体を先走りしている構造です。 特に重要なのは、「理解している」が何を指すかです。定性の物語は語れても、EBITDAやキャッシュフローへの影響を説明できないのであれば、それは投資判断や経営資源配分の根拠として機能しません。銀行・資本市場やエネルギー業界で定量化率が高いのは、規制や投資家からの圧力が制度的に強く、数値化しないと資金が動かないからです。 この調査が暗に示す隠れた前提は、「定量化すれば意思決定が改善する」というものです。しかし、逆に見れば、定量化の手法自体が未成熟な領域で、先行して数値を出すことが誤った経営判断を招くリスクも存在します。企業は、物語と数値のどちらかに偏るのではなく、両者を往復しながら、時間をかけて評価手法そのものを成長させる必要があります。
6月22日、KPMGは、サステナビリティ戦略と財務意思決定の間に大きな隔たりが存在することを明らかにした調査レポート「Closing the Sustainability Valuation Gap」を公表した。調査によると、自社のサステナビリティ戦略や指標を理解していると回答した経営幹部は72%に達した一方、その財務的影響を定量的に評価している企業は19%にとどまった。 同調査は、19の国・地域における2,000人超の経営幹部を対象に実施された。回答企業の60%がサステナビリティに関するリスクと機会を財務計画に反映していると回答し、半数が経営戦略に組み込んでいるものの、多くの企業はEBITDA、キャッシュフロー、設備投資(CapEx)などの財務指標への影響を定量化できていないことが明らかになった。 KPMGは、この「サステナビリティ評価ギャップ」により、企業がサステナビリティ投資による価値創出機会や、対応不足に伴うリスクを十分に評価できていないと指摘した。先進的な評価手法の活用率は、銀行・資本市場業界が33%、エネルギー・天然資源業界が31%、自動車業界が27%と、全体平均の19%を上回った。 また、KPMG英国法人の事例では、食品・飲料企業において6つのサステナビリティ施策を特定し、最大35%のEBITDA向上効果が見込まれることが示された。KPMGは、今後のサステナビリティ経営においては、情報開示や認識向上だけでなく、財務統合と価値評価手法の確立が重要になると強調している。 原文:Sustainability gap exposed: only one-fifth of execs are quantifying financial impact日本語参考訳:持続可能性に関するギャップが露呈:経営幹部のわずか5分の1しか財務的影響を定量化していない ESG Journalでは、実務に役立つポイントや実践ガイド(テンプレート)を紹介しています!国内外においてサステナビリティ開示の高度化や制度化が進みつつあります。ぜひこの機会に自社の実務対応を再確認してください。🌍開示基準、保証など制度への対応に関連する実務ガイドはこちら>>> ✅業界別の指標の変更点を解説✅SSBJ基準開示との関連性を整理 ✅サステナビリティ情報の範囲対象の考え方✅サステナビリティ情報と財務情報の結合の解説 ✅SSBJ基準における第三者保証とは✅今から企業が準備できる開示準備のポイント
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一次ソース
- https://kpmg.com/xx/en/media/press-releases/2026/06/sustainability-gap-exposed-only-one-fifth-of-execs-are-quantifying-financial-impact.html?utm_source
- https://kpmg-com.translate.goog/xx/en/media/press-releases/2026/06/sustainability-gap-exposed-only-one-fifth-of-execs-are-quantifying-financial-impact.html?utm_source&_x_tr_sl=auto&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=zh-CN&_x_tr_pto=wapp