令和8年度 東京における水素実装課題解決技術開発促進事業|東京における水素実装課題解決技術開発促進事業|東京都産業労働局
専門家の視点
東京都の水素技術開発促進事業は、実体として具体的な技術開発テーマと実行主体を明示しており、令和6年度の事例では次世代高圧ガス容器やAE検査といった現実の課題解決に着手しています。しかし、この事業の物語は「技術開発→市場形成」という単線的な因果関係を前提としており、実体と物語の間にズレが潜んでいます。 隠れた前提は「技術ができれば市場は自ずと形成される」という発想です。実際には、水素の普及には技術開発だけでなく、需要創出、規制緩和、サプライチェーン構築、コスト低減のための量産規模の確保など、複数のレイヤーが同時に動く必要があります。この事業は供給側の技術に焦点を当てていますが、需要側の準備や制度整備という実体が欠落しており、物語が先行していると言えます。 また、実行レイヤーとして都内企業・大学を挙げていますが、開発後の社会実装を誰が担うのか、事業終了後の継続性は不透明です。時間軸で見れば、技術開発の成果が出るのは数年先であり、市場成立の期待が先行してしまうリスクがあります。 この構造は、技術開発支援だけでは水素市場の本格的な立ち上がりに不十分であることを示しています。
東京都は、水素の利活用に係る課題の解決に向けた技術の研究開発・実証等を行うことにより水素のさらなる普及拡大を目指すため、「東京における水素実装課題解決技術開発促進事業」を実施しています。 このたび、令和8年度事業について、以下の通り民間企業や大学等からの提案を募集しますので、お知らせします。 都と優れた技術を有する都内企業等が共同で技術開発等を行うことにより、東京における水素利用の更なる普及拡大を図ります。 都内で事業を行う民間企業や都内に所在するまたは研究所を置く大学・研究機関等 水素関連分野の市場が未だ十分に形成されていない状況の下、当該分野の市場成立に向けた課題の解明または解消に資する技術開発、研究開発、製品開発および実証等 ・水素の貯蔵、輸送、利用等、水素の社会実装における利用・インフラを支える基盤としての部材、装置、素材、加工、流通、保安その他これらに類する技術・製品の開発 ・水素の前駆物質、エネルギーキャリア、水素への改質および水素からの合成等、水素の社会実装に資する上流・周辺領域に係る技術・製品の開発(メタネーション、固体吸着材料等を含む) ・技術開発等の範囲には、水素を直接取り扱わない技術等を含む(水素関連分野への応用または展開が見込まれるもの) ・技術開発等の範囲には、基礎的な研究のほか、企業等との連携を通じた実用化への展開を含む ・技術開発等の範囲には、新たな技術の開発のほか、既存技術の適切な組合せ等による製品の開発を含む 【令和6年度】次世代高圧ガス容器の実証及び同容器の導入にかかる検証等事業 多孔性配位高分子PCP/金属有機構造体MOFをガス吸着剤とする次世代高圧ガス容器(CubiTanⓇ)を用いて水素の運搬・貯蔵の柔軟性向上等に向けた開発等を行う。 https://www.yachiyo-eng.co.jp/news/2025/02/post_877.html 水素ステーション用蓄圧器の新たな検査手法であるAcoustic Emission検査※の効果を検証・把握するとともに、水素ステーションの運営コスト低減に向け、同検査手法の認知を広める活動等を行う。 https://www.chiyodacorp.com/jp/media/assets/251112_r1.pdf ※Acoustic Emission検査:材料や構造物が変形する際に生じる音波をセンサーで捉え、内部の異常や損傷の有無を評価する検査法
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