日本郵船 新レストラン船 動力源は水素燃料電池
日本郵船が新レストラン船で水素燃料電池を動力源として採用する計画を発表
専門家の視点
水素燃料電池を動力源とする日本郵船の新レストラン船「AMANE」ですが、現状では実体と物語の間に無視できないズレが存在します。実体として、全長48メートル・乗客90人という小規模船への水素燃料電池搭載は技術的には成立可能であり、振動・騒音低減という乗客体験価値は確かにあります。しかし、水素の供給インフラやコスト、バンカリング(燃料補給)の仕組みが整備されていない段階での発表は、物語先行の典型です。日本郵船が掲げる「脱炭素への取り組み」という物語は、船上体験の向上という現実的な付加価値と結びついていますが、「いつから誰がどこで運航するのか」という時間軸や実行レイヤーが不明瞭です。そもそも水素燃料電池が、外航大型船ではなく内航小型船で先行するという前提自体、業界の常識(大型船こそ脱炭素圧力が強い)と逆張りしています。このズレは、規制・補助金・需要のどれも確定していない段階で、企業が「やっています」と示すアピール合戦に過ぎないリスクをはらんでいます。