ニュージーランド、気候関連開示の将来像を示すロードマップ案を公表 意見募集を開始
専門家の視点
ニュージーランドが気候開示で国際基準IFRS S2との整合を掲げる一方、国内修正の余地やオーストラリアとの調和を同時に追求する姿勢は、制度構築の段階としては自然です。しかし、ロードマップ案が示したのは方向性だけで、具体的な数値目標や導入スケジュール、独自修正の内容は空白のまま意見募集に委ねられています。国際基準に合わせるという物語は明確ですが、ニュージーランド経済の特性(農業・観光依存、中小企業比率の高さ)を考慮した実行の設計はこれからです。移行期間を長く取る方針は、実態として企業の準備が追いついていないことの裏返しでもあります。この構造は「物語先走り」に近く、国際整合性という美しいフレームが先行し、国内の執行体制や人材育成といった実体の整備が後追いになるリスクをはらんでいます。また、意見募集が2026年9月までと長期に設定された背景には、利害調整の難航が透けて見えます。国際基準に合わせることが当然視される前提を問い直せば、農業セクターの排出特性や小規模事業者の負担を軽視した制度にならないかという懸念が浮上します。
6月30日、ニュージーランドの会計・監査基準を策定する機関であるExternal Reporting Board(XRB)は、同国における気候関連情報開示制度の今後の方向性を示す「気候報告ロードマップ(案)」を公表し、2026年9月30日まで意見募集を実施している。 今回のロードマップ案では、新たな気候開示基準「NZ IFRS S2 Climate-related Disclosures」の策定を提案している。基準の設計にあたっては、International Sustainability Standards Boardが公表した国際基準「IFRS S2 Climate-related Disclosures」との整合性を確保する方針が示された。 また、ニュージーランドと経済的な結びつきが強いAustraliaとの制度調和も重視しており、オーストラリアの気候開示基準「AASB S2」や関連会社法との違いについて検討を進める考えだ。一方で、国内の法制度や市場環境に適合するよう、必要に応じてニュージーランド独自の修正も検討するとしている。 XRBは、気候関連報告制度が転換点を迎えていると指摘。国際的な整合性を維持しつつ、国内事情にも対応できる新たな枠組みを構築することが重要だとしている。 意見募集では、国際基準採用の是非、投資家など主要利用者への情報提供効果、企業への実務的影響、オーストラリアとの制度調和のあり方、国内独自の修正の必要性、導入スケジュールなどについて広く意見を求めている。 ロードマップ案では、企業や関係者が新たな基準へ適応できるよう、比較的長い移行期間を設ける方針も示された。 寄せられた意見は、ロードマップの正式採用の可否や新基準の詳細設計に反映される予定である。XRBは、十分な支持が得られた場合、基準案(エクスポージャードラフト)の公表と追加協議を経て、新たな気候開示基準を正式に導入する考えを示している。 原文:Draft climate reporting roadmap ESG Journalでは、実務に役立つポイントや実践ガイド(テンプレート)を紹介しています!国内外においてサステナビリティ開示の高度化や制度化が進みつつあります。ぜひこの機会に自社の実務対応を再確認してください。🌍開示基準、保証など制度への対応に関連する実務ガイドはこちら>>> ✅既存の気候開示の活用について解説✅準備段階から開示の実践までフェーズごとの実施事項を整理 ✅サステナビリティ情報の接続を解説✅つながりの「パターン」ごとに開示実践ポイントを整理 ✅SSBJ基準における第三者保証とは✅今から企業が準備できる開示準備のポイント
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