印刷・複合機各社 DXとGX加速
印刷・複合機各社がDXとGXを加速し、リコーが環境事業開発センターを刷新するなど脱炭素に向けた顧客支援を拡大する動きを報じている。
専門家の視点
印刷・複合機業界の脱炭素化は、ESG投資家の視線や顧客企業のサプライチェーン排出開示要請という実体に押されています。リコーやSAPジャパンが共創拠点を刷新するのは、自社の排出削減だけでは足りず、顧客のScope3排出を減らすソリューションを提供する必要があるからです。ここで問題になるのは、物語と実体のズレです。「次の10年へ環境経営を加速」というビジョンは壮大ですが、印刷・複合機事業自体が紙使用量の削減(脱炭素)と紙消費を前提としたビジネスモデルとの間に構造的ジレンマを抱えています。顧客支援の具体策として、オフィスのエネルギーデータ可視化や稼働最適化は現実的ですが、それがどれだけの排出削減量に直結するか、第三者検証可能なKPIが示されているかは不透明です。さらに、実行レイヤーが欠落しています。印刷機の保守・販売を担う現場人材に、GXコンサルティングを求めるのは非対称なスキルシフトを強いることになります。期待先行のリスクとして、共創拠点への投資が短期的な収益に結びつかず、投資家の期待だけが先行する可能性があります。