ESG・金融

投資家はサステナビリティ開示に何を求めるのか ―SSBJ基準で考慮が求められるSASBスタンダード活用の現在地―

PwC 2026-07-02
投資家が求めるサステナビリティ開示の要件と、SSBJ基準において考慮が求められるSASBスタンダード活用の現状について解説している。

専門家の視点

SSBJ基準がSASBスタンダードを参照する方向性は、投資家と企業の間にある「どの情報が財務的に重要か」という認識の非対称性を解消しようとする試みです。現実には、SASBスタンダードは米国市場向けに産業別に作られた枠組みであり、日本企業の開示実務や業種構造にそのまま当てはまらない部分が少なくありません。 物語としては「グローバルな投資家の期待に応える」という方向性が明確ですが、実体として、日本企業の多くはSSBJ基準の詳細が固まる前に開示準備を始める必要に迫られ、SASBの膨大な指標群から自社に本当に重要な項目を取捨選択するリソースや知見が不足しています。ここで見逃せないのは、開示の「対象」は決まっても、その数値の「品質」や「比較可能性」を担保する監査・保証の実務が追いついていない点です。 期待はやや先行しており、投資家が開示データを実際にポートフォリオの意思決定にどう組み込むかという「使う側」の実装が遅れています。この構造の核心は、開示基準の整備と運用・活用の間にある時間差です。

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